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近況02年11月分


バタバタと一日が終わる

雑事の多い日。
何もかも間に合わないような気がして、お昼ころには、パニック状態。
いかんとトランキライザーを飲んで気持ちを鎮め、なんとかゲラを1本、原稿を2本送る。
少し落ち着いたところで、あちこちに電話。またあちこちからも電話。
なぜか電話は、集中する日と、まったくない日がある。きょうは前者です。


来月、某所でひとつ、わたしが発表者となる研究会があったのだけど、
このことでその後情報がまったくなくて、日をまちがえて覚えたような気がしてきた。
すでにこの件は、終わってしまったことなのではないだろうか。
怖くて、関係者に問い合わせることができません。


この落ち着かない気分、原因を考えてみると、たぶん新しい連載の開始が
近づいてきたせいでしょう。締め切りまで一カ月を切った。
連載開始時には必ず感じる恐怖とおののき。
ベテランのオペラ歌手でも、初日は自分の出番が怖くて逃げ出したくなるそうです。
わたしの場合も、レベルはちがうけれどもこれに近い状態か。


今朝の積雪は5p程度。意外に積もらなかった。
雪も湿っていたし、今年も昨年同様の暖冬でしょうか。
暖冬の雪よりは、寒気の冬の雪のほうが、その中で暮らすぶんにはありがたいのですが。

02/11/27



信長の建築原体験


織田信長は、永禄2年(1559年)、桶狭間の戦いの前の年に上洛していますが
この事実って、信長を描いた小説などの中には、
あまり出てこないような気がします。ほとんど重要視されていない。
小説家ならば、翌年の桶狭間のほうをじっくり描きたくなる気持ちはわかりますが。

この上洛のとき、信長は将軍義輝に会い、さらにそのあと、堺、奈良とまわって、
尾張に戻っています。信長、26歳。

いま書いている『天下城』では、信長のこの上洛、堺・奈良訪問が大事な部分。
信長が安土城のような破天荒な城を築くには、何か決定的な建築体験が必要だと
思うからですが、信長の建築上の美意識を作ったのは、この畿内巡り旅行であったでしょう。
白紙の頭に、いきなり安土城の構想が浮かぶはずはない。

というあたりを、いま書いています。


ニューヨーク在住のある日本人から、本を出したから読んでくれ、というメールがきました。
まったく知らない人物です。このサイトを発見したのでしょうか。

このひと、業界関係のほうぼうに同じ中身のメールを送っているようなのですが、
見ず知らずのひとから、メールだけきて、本を(買って)読んでくれ、と言われても、ちょっと困る
もちろん、いきなり本を送られて感想を求められるのもかなり困るのですが。

関心領域の本なら自薦がなくても買って読みますし、ときにはここで紹介する。
でもなあ。ひたすら困惑(わたしは、自分がこういうことに過敏に反応するたちだ、
ということを承知で書いてますが)。

このひと、もしかして、いま躁状態なのだろうか。


今夜は吹雪いています。明日の朝には20センチくらい積もっているか。

02/11/26



零下5度のトラブル


23日早朝、車を使おうとしたら、エンジンがかかりません。バッテリーが弱っていて、
最初の点火に必要な電圧が出ない。急ぎの用件があったので、すぐにあきらめ、
友人にSOSの電話。拾ってもらって、かろうじて約束の時間に間に合わせました。

当地の冬ではままあることですが、でもあの朝は零下5度くらいだったはず。
極端な寒気というわけじゃない。やれやれ。

日産の乗用車がアメリカに輸出されだしたころ、バッテリーのトラブルが相次いだそうです。
たぶんシカゴとかミネアポリス周辺のマーケットでのことでしょう。あちらの冬は寒い。
でも、本社のほうは、アメリカのディーラーや担当者から入ってくる情報が信じられない。
「旭川では何のトラブルもないぞ」と突っぱねる。

ところがやがて、北海道での乗用車の使われかたがわかった。
とくに旭川周辺のユーザーたち、冬のあいだ、夜はボンネットに古毛布をかけている。
バッテリー上がり対策です。そこまでやるなら、バッテリーも上がらない(か?、ほんとに)。

30年以上も前のことですから、乗用車はその程度には手間をかけて使うのが、
北海道ではふつうだった。日産本社は、そんなことは知らず、
アメリカ市場から入ってくる苦情が理解できなかったのだとか。
『疾駆する夢』を書いていて知った話ですが。


けっきょくバッテリーは取り替えることに。韓国製の、強力で安いものにします。

02/11/25



やっぱり稲葉警部事件も

怖いです、また神奈川県警。
容疑者を取調べ室で射殺しておいて、自殺として処理。
判決は「動機が不明なので誤射」ということですが、
もし動機がはっきりすれば、「誤射」という解釈は不要だ、ということになります。

こうなると、北海道にいる身では、どうしても先日の覚醒剤・拳銃密売、稲葉警部事件を
連想します。道警本部は組織として稲葉警部の犯罪を認識しており、
すべて承知の上で利用していた、と見られる事件。奥が深そうなのですが。

この事件では、関係者ふたりが自殺しています。重要証人のひとりは、
拘置所内で、靴下を使って自分の首を締めて自殺、との発表。
そんなことできるか、と思ってましたが、神奈川県警のこのケースを聞くと、
想像はひとつのところに行き着きます。

公園の公衆トイレで首吊り死体で発見の元上司についても、
その死の真相はわからなくなってきた。

稲葉警部の初公判では、地裁法廷には、傍聴席と関係者席(なんと呼ぶのだろう?)
とを区切る位置に、異例ながら防弾ガラスの衝立が設置されたそうです。
稲葉被告本人もしくは裁判所が、ヒットマンによる稲葉被告の口封じを真剣に
心配しているということですが、では稲葉被告を狙っているのは誰なんだ?

稲葉被告へ圧力をかけるために、防弾ガラス設置を裁判所に強く勧めた組織が
あるのかもしれない。これって、背中に拳銃を突きつけるのと同じ効果がある。


たいへんな事件の割には、東京のメディアの動きが鈍いように思います。
たしかにこのケース、取材するのは怖いでしょうね。


02/11/22



初積雪。タイヤを替えておいてよかった

午後から雪。
昨夜、犬を散歩に連れ出すとき、月の光を浴びて牧草地が銀色に光っていました。
霜が降りたのだろうと思っていたら、その通り。朝、目覚めて外を見ると、
あたり一面、雪が降ったわけでもないのに真っ白です。
その霜も消えないうちに、ほんとの雪となりました。

午後、ボランティア仕事で町に出ていたのですが、町にはかなり湿った雪が降っている。
道路はシャーベット状です。
ところが帰路、仕事場に近づくに連れて乾いた雪となり、道路は圧雪状態に変ります。
仕事場周辺と町とでは気温が数度ちがうはずですが、きょうは雪の質がちょうど
変る境目の気温の差だったということでしょう。
やれやれ、とうとう積もってしまいました。


ゲラ直しを2本送る。
わたしのファックスは感熱紙を使う一般的なタイプ。
ゲラがこのファックスに送られてきた場合、手を入れるには、
家庭用コピー機を使って、感熱紙から普通紙にコピーしなければならない。
そうしないと、筆記用具で修正を書き入れるのが難しい。
ところが、量が多くなると、このコピー作業がけっこうな手間です。
そろそろ普通紙ファックスに替えるべきかもしれません。

02/11/21



完全オフ、原稿は書かない

昨日の嵐が嘘のようです。きょうはまた典型的な初冬の快晴。
雨はアイスバーンにならないまま、朝のうちに乾いてしまったようです。

完全にオフとした一日。原稿を一枚も書かないと決めたので、
きょうは弟子屈まで40キロ少々のドライブ。
美留和(びるわ)の次郎牧場へランチを食べに行きました。
次郎牧場のレストランはタンシチューが自慢。絶品です。


帰ってきて、牧柵の修理。馬小屋掃除もするつもりだったのですが、
修理だけでぐったりしてしまって、切り上げました。
ふだん使わない筋肉を使うと、すぐにばてる。全体に運動不足ではあるのですが。

あとは仕事場の掃除。ゴミ溜め状態を、なんとかひとが暮らしうるレベルにまで
回復させました。 


夜空には満月です。獅子座の流星群を見るべく、夜空を眺めてみましたが、
今年はひとつも見えず。ま、あまり長い時間眺めたわけでもないのですが。


明日からは、いよいよ角川春樹事務所、『警官仕立て』(仮題)にかかるか。


出版社や編集部の忘年会の案内がくるようになってきました。
それぞれ、よその予定を気にしつつ日取りを設定しているのか、
意外にあまり集中していません。どこかの週に固まっていてくれると、
一度の上京で日頃の不義理をいくつか挽回できるのですが。

02/11/19



別冊文春『ユニット』終了

別冊文藝春秋(隔月刊)に連載していた『ユニット』が終わりました。
当初600枚の予定が、800枚ぐらいになったでしょう。
同時代的なサスペンス小説。

題材は、何度かこの近況でも話題として取り上げた「少年犯罪」と、
「合理的な裁き」をめぐる問題。
そしてテーマは、『ユニット』というタイトルから想像がつきますか、
「家族の再生」あるいは「家族の創造」です。

ラストですから、昨日は30枚も書きました。
おかげで、腕の腱鞘炎は限界まできています。肩から肘まで、腕に4枚も湿布薬。
それも、処方なしでは手に入らないという強力なやつ。
もっとも、とにかく腕を休めないことには、治るはずもないのですが。


返事の必要なメールがたまってしまいました。
申し訳ありません。ご不審に思われているかた、明日じゅうにはメールします。


午後2時半に『ユニット』原稿を送ったけれど、外は嵐なので雑事はあとまわし。
冬タイヤを積んで、町の自動車整備工場まで。
きょうのうちにタイヤを交換しておかないと、明日は雪で外出不能ということになります。

一応持っていったタイヤの磨耗具合を診てもらうと、
やはり、アイスバーンには必要なエッジの軟質ゴム部分がなくなっていました。
昨シーズン、180度瞬間方向転回を二度もやってしまったわけです。
生命が大事ならば、新しいタイヤを買うお金を惜しんではいけませんね。
スタッドレス・タイヤを新品にしました。

当地では、スタッドレス・タイヤのテレビCMが流れるようになると、
冬がきたな、と感じます。
ただ、今年は8月末にはすでに放映され出したような気がしますが。

明日は、オフとしよう。


02/11/18



日経ビジネスに著者インタビュー


『疾駆する夢』の件で先日受けた取材が、日経ビジネス11月18日号に掲載。
経済誌の視点からのインタビューでした。

1ページの記事なのに、こんなこと言ってない、という部分が2カ所ある。
わたし、自分の発言の文章化についてはあまり神経質にならないほうですが、
こんどの場合、ひとつは経団連奥田会長の発言に関わってくることで、
ひょっとしたらトヨタから抗議があるかもしれない。
奥田氏は、先日も発言をめぐって、大きな反響を巻き起こしたばかりですし。

この記事については、わたしは事前に目を通してはいません。
ちょっと心配。


快晴が続いていますが、寒くて、風が強い。
フリースのパンツだと、ウォーキングがつらくなってきました。
屋外仕事もまったくできません。
雪が降る前にアプローチの枕木にクレオソートを塗るつもりだったけど、
できないまま、ひょっとしたら雪が積もってしまうかな。


02/11/16



初期段階で封じ込め


ご心配をおかけしました。昨日は無理をせずに早めに就寝。
無理やりに汗を出したおかげで、さほど熱が上がらぬうちに風邪は抜けました。
鼻炎だけはそれ以前からずっと続いているのですが、これは風邪とは関係ないな。


週刊金曜日の曽我ひとみさん家族インタビューが、猛烈に叩かれています。
北朝鮮のプロパガンダに利用されただけ、曽我ひとみさんの心情に配慮がない、とか。
だけど、大手メディアに関わるひとが、これを言えるだろうか。
10年も前の映像を引っ張り出して「北朝鮮はこんなに貧しい」とやってる報道よりは、
この週刊金曜日のスクープはジャーナリズムのありかたとして好ましい。

新潟県議のなんとやらが、記事についての曽我ひとみさんの言葉を伝えるとして、
やたらに芝居がかった記者会見をしておりました。ところが夜のニュースでは、
曽我ひとみさんは落ち着いたものです。記事を読んで泣いたとは言っていたけど、
新潟県議が直接話法で伝えたようなエキセントリックな発言はしていない。
あの県議の、あの異様な興奮ぶりの会見は何だったのだ?


ペルーの日本大使館占拠事件のとき、どこかの通信社が大使館の中に入って、
占拠した面々にインタビューした。このときも大手メディアは猛反発した。
テロリストを利することになる、というのが建前だったけど、要するに抜け駆けが
許せないということでした。

そこで大手新聞社の記者たちは、現地でも記者クラブを作ろうとした。
記者クラブを通じて外務省から発表される以外の情報は、
ニュースとして流さない、という報道協定を結ぼうとするものでした。

でも、前にも書いたけれども、そんなことをするのはジャーナリズムの自殺です。
「オーソライズされた」「各社同時に伝えられる」情報だけがニュースではないでしょうに。


このところの北朝鮮報道に首をかしげていたのは、わたしだけではなかったようです。
11月23日に「おかしいぞ北朝鮮報道」というテーマの討論会があるそうです。
シンポジウムの出席者は、辺見庸、野村進、筑紫哲也、蟹瀬誠一氏ら。
東京の参議院議員会館会議室、午後1時から。
宮崎学氏のサイトに掲載されていた情報です。

02/11/15



いかん、風邪か

夕方からどんどん寒くなる。最初、外気温が低くなったのだろうと思っていたら、
これはどうやら悪寒です。室内の湿度も、25パーセント。危険数値。
加湿器はふたつ使っているのですが、とても追いつかない乾き具合。
薪ストーブを焚き、風呂場に熱いお湯を出して湯気を立て、
バスタオルを湯にひたして、室内に広げました。
とりあえずこれでなんとかなるか。いま寝込むわけにはゆきません。


ええと、いくつか書かねばならぬメール、返信の必要のある問い合わせ等あるのですが、
ちょっと遅れます。ひょっとしたら、月曜以降。すみません。

02/11/14



10日ぶりのお酒

少しお酒を飲む。考えたら10日ぶり。


あの北朝鮮赤十字のふたりと何度か接触を持ってきたひとの話を聞きました。
つくづく思いますが、政府発表、あるいは大手メディアの報道だけに拠って、
うっかりした感想を漏らすべきではありませんね。
自分の想像力を最大限に使って、情報を吟味しなければらない。


そういえば、某・反北朝鮮の立場のある評論家が繰り返すことで気になることがひとつあります。
「金日成がそこに行くと夜に虹が出たとか、無茶苦茶なことを彼らは言っているわけです」

このひとは、「夜には虹は出ない」と思い込んでいるようだ。
つまりこれは「奇跡が起こった、とする非科学的な神格化キャンペーンだ」と。
だけど、夜にも虹は出ます。
かなり珍しい自然現象であることは確かですが、月夜に、まま、起こる。
けっして奇跡でもなんでもない。

夜の虹を嘘っぱちだと決めつけるこのひとの感受性の貧しさを、わたしは本気で憐れむ。
彼はいったいどんな悲惨な環境で育ってきたのだろう。


02/11/13 



日本で最高の銀行家の逮捕


きょう届いた神奈川新聞11月8日号に、こんな記事が載っていました。
「タイへの闇送金100億 横浜の地下銀行摘発、日本人経営者で全国初」
神奈川県警は、タイ人を対象に不正な海外送金を仲介する地下銀行を開いていたとして
Hという日本人を逮捕したのだとか。銀行業の免許がないのに銀行業を営んだ
銀行法違反なのだそうです。

でもこれは、被害者のない「犯罪」。形式犯でしょう。同じ金融犯罪でも、
消費者金融や闇金融のやることとは「悪さ」の質がちがう。
消費者金融の利子法違反は黙認している警察が
なぜこのサービス事業を摘発し、この容疑者を逮捕しなければならないのだろう
(いや、既存銀行の権益を守るためだ、ということは承知しています)。

このH容疑者の手法も紹介されていますが、それは立派な「システム」と呼ぶべきもの。
タイにあらかじめ資金をプールしており、日本から振り込みの連絡が入れば、
すぐにタイ・パーツで指定のタイの銀行口座に振り込む。

神奈川新聞はこうも書いています。
「正規の送金では、指定口座に振り込まれるまでに一週間前後、
一回の手数料は最低でも6500円かかるが、H容疑者は即日入金するうえ
手数料を一律3000円に設定。利用回数に応じて無料で送金できる特典の一方、
身分証明書が不要とあって口コミで広まり、数千万円も送金していたタイ人もいたという」

素晴らしいじゃないですか。これは称賛すべき金融ベンチャー・ビジネス。
冗談じゃなしに、わたしはこのH容疑者は日本でいま一番有能なバンカーだと思う。
みずほの頭取前田某は、システムのトラブルの際「実害は出ていない」と居直って
あっと言う間に信用を失ったけど、
このH容疑者は、何の後ろ楯も持たずにビジネスを始めていながら(本業は、
タイ食品の輸入販売だという)、こんなに信用がついている。
しかもサービスは利用者志向。銀行家と銀行は、そもそもこうあるべきでしょう。

H容疑者に、銀行免許を。管轄は竹中大臣かな。
みずほ国有化の暁には、前田某と交代させてもいいんじゃないか。


腱鞘炎広がる。いま、両腕、湿布薬だらけです。

02/11/11



整理術の本がたまっていた

ときどき、集中的に整理術とか仕事術の本を読みます。
たまたま同傾向の本が固まって出版されるせいかもしれませんが。
いま、デスクの脇にはこんな本がある。

『デジタル書斎活用術』紀田順一郎、東京堂出版
『デスクトップの技術』中野不二男、新潮選書
『気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ』リズ・ダベンポート
平石律子役、草思社
『ワーキング・ウーマンのための超整理法』ジュリー・モーゲンスターン
中小路佳代子、角川書店

下のふたつは、SOHOで働くひと向けの実用書。かなり実際的な本だとは思うのですが、
勧められる収納道具等は、日本では手に入らないか高価すぎるものがほとんど。
OfficeDepoとか、IKEAが近くにないと、役には立ちませんね。

上のふたつは、著述業の仕事術についてのエッセイであり、具体的参考書。
ただ、中野不二男氏はかなりPCを使いこなしている技術系の作家さんですし、
わたしにはとても使えそうもないというノウハウが多い。


それにしても、作家やライターさんのエッセイや紹介記事を読んでよく思うのですが、
同業のみなさん、ずいぶん多くの種類の情報機器を使いこなしているのですね。
わたしは、モバイルPCを持っていないし(欲しいけど)、
取材に行くときも、鞄の中にはノートと、コンパクト・カメラを入れる程度です。

一度安物(9000円)のデジカメを買ったけれど、
すぐにPCが認識しなくなったので、いまは使っていない。
マイクロカセットコーダーを使うことはなくなったし、ボイス・メモ、電子手帳、
PDAは持っていません。CDウォークマンを手に入れたのはつい半年前。
このところひとからもらうMDが増えているけど、MDデッキも持っていない。

そもそも取材が少ない仕事で、ひとに会って話を聞く取材はもっと少ない、という
せいでもあります。これで仕事のジャンルがちがえば、
情報機器ももっと使うことになっていたのでしょう。
ただ、モバイルPCを使いこなす仕事のスタイルには、憧れます。
格好のことだけですけれども。


きょうは日中、短時間でしたが、吹雪。
そろそろタイヤ交換しなくては。まだ耐用年数以内だけど、
命のことを考えたら、あのスタッドレス・タイヤは、新品に替えるべきだろな。


腱鞘炎が出ています。

02/11/10



羨ましいのは他人の仕事


週刊新潮の原稿を送って、さあて神奈川新聞、と考えたけど、すぐには
頭は切り換わりません。また資料を細かに読み直すだけで、きょうが終わる。

小説家とノンフィクション・ライターが互いを羨む、という有名な業界ジョークがあります。
小説家「ノンフィクション・ライターはいいよな。資料があるんだから」
ノンフィクション・ライター「小説家はいいよな。資料なしでも書けるんだから」

時代小説と歴史小説を並行して書くというのは、
上記の両方をひとりでこなすということに近いな。非番のほうの物書きが
羨ましくてしかたがない。
来月からは、歴史小説家がもうひとり増えます。


02/11/9



ムースの群れを見たときのこと

昨年9月、ワイオミングのランチで過ごしたとき、かなりの山岳地帯の
トレイルを体験したことがありました。
ちょうど山には初雪が降った日で、ガイドを含め三人のわたしたち一行は、
キャンプ予定地まで行くには行ったけれども、野営は断念、引き返しました。

帰り道、急斜面を下って小さな谷間の草原に出たとき、馬たちが急に脚を止め、
耳をぴくりと前方に向けます。

ガイドが小声で言いました。
「この匂い、わかりますか。オスのムースが近くにいます」
わたしには、その匂いがわかりません。でも、馬もガイドも、そこにムースがいることを
察知している。降り続く雪の中、しばらくじっとしていると、やがて谷の奥、
前方200メートルほどのところにムースの群れが現れました。
雪の森の中から、すっと音もなくです。

見ていると、ムースはわたしたちから遠ざかるように草原を横切って、
雪の奥へと消えていった。その数50頭はいたでしょう。
雪が降る中でのできごとですから、たいへん夢幻的でした。

山道を降りてきて、途中、ハンターたちのキャンプに寄りました。
ハンターたちは、ボウガンで狩猟にきていたふたり組で、
わたしたちはそこでコーヒーをごちそうになった。
彼らは数日前からきていたそうで、毎日山の奥に入り、
足跡や匂いをたどってムースを追っているのでした。
わたしたちがムースの群れに出くわしたと聞いて、うらやましがっていました。

ところで、日高で、馬を鹿とまちがえて撃ったハンターたちのニュース。
テレビで観ると、三人の乗ってきたピックアップ・トラックには、荷台に小屋が作ってある。
報道では、彼らは公道に停めたトラックのこの小屋の中からと運転席から発砲したのだという。

馬と鹿の区別がつかない無知ぶりや違法性はさておくとしても、
たまたま見かけた獲物を車の中から撃つような狩猟のどこが面白いんだろう?
「アウトドア」に出てゆかないない狩猟って、それは本来の狩猟とはちがう何かべつの
愉悦なのではないだろうか。そういえば、アメリカ・ワシントン近郊で、
シボレーの中からライフルで無差別にひとを撃っていた男たちが捕まりましたが、

02/11/8



『屈折率』ゲラが届く

『屈折率』(講談社)が、来年1月、文庫になります。
このゲラが本日配達に。

仕事の予定を考えるとき、ゲラの直しというのを、いつもころりと忘れてしまう。
そうだ。今月はこの作業もありました。月末まで。

この長さの作品だと、完全に集中できる時間が丸一日(24時間という意味)あれば、
ほぼ終えられると思うのですが、その丸一日の確保が難しい。
犬たちをペットホテルに入れたうえで、
近所のプチホテル、ヘイゼルグラウス・マナーに泊まってみようか。


『屈折率』は、「恋愛小説を書きませんか」という依頼で書いた作品。
地方紙数紙に連載されました。
いざ書いてみると、かなり企業小説的な作品となりましたね。
文庫版の装丁は、こちら、企業小説の側面を強調するものになりそうです。
いま振り返ると、『疾駆する夢』のトライアルでもあったかな。
主人公の境遇も、少し似ています。


きょうは頭が熱くなって、熱ダレ状態。冷凍庫で冷やした鉢巻きをしてるのですが、
もう使いものになりそうもない。

02/11/7



サイト引っ越し、独自ドメイン


このページにきたかたはもうご承知なわけですが、サイトを引っ越しました。
独自のドメインを取ったのです。ほとんど見栄ですね。
ただ、URLやアドレスからチルダやアンダーバーがなくなったので、
名刺に記すときは、多少便利になりますが。

デザインの変更もおいおいやってゆくつもりです。リンク切れなどあるかと思いますが、
しばらくご勘弁を。

メールアドレスも変わりましたが、転送されます。後日あらためてご案内します。


忙しいときほど、余計なことをしたくなる。現実逃避。自分をぎりぎりまで追い込んで
テンションを上げようという意図が、どこかで働いているな。

02/11/6



横入りを許してしまう気弱さ


某社の文庫の解説を引き受けました。
クライアントあっての仕事ですから、依頼があれば、物理的に絶対に不可能でないかぎり、
義理があろうとなかろうと、会ったこともない相手からの依頼だろうと、
ありがたくやらせていただきますが、同時に申し訳ないとも感じてしまう。

親しい編集者さんは、このサイトをこまめにチェックしてくれて、
忙しいようだからと注文や原稿の催促を遠慮してくれている。
なのに、こんな仕事が入りましたとここで記すと、
なんでえこの横入りは、と感じることでしょう。すみません。
こういう場合、どう対処するのが、正しい物書き道なのだろう。


11時30分から、NHK教育テレビで『幕臣たちの戊辰戦争』という番組。
実質的に、榎本武揚と箱館戦争についての番組でした。
講師は、京都大学教授の佐々木克氏で、主旨は「蝦夷共和国はまぼろし」です。

佐々木克氏の出身地は知りませんが、たぶん西のひとでしょう。
中公新書『戊辰戦争』の中で、孝明天皇毒殺について明言されたひとですから、
必ずしもガチガチの官軍史観の持ち主ではないと思うのですが。

氏の「まぼろし説」の根拠は、武揚は新政府に徳川家の蝦夷地移封を嘆願している、という
ことなのですが、武揚は最後通牒では「力づくでも頂戴」と分離独立を宣言しており、
列国もこの意思を認めて、蝦夷地政権を交戦団体と認定している。
明治維新を評価する立場のひとは、どうしてもこの「交戦団体」の意義が
理解できないようです。列強が「中立」の立場を取ったことの意味も。

神奈川新聞連載『くろふね』後段では、再度、共和国実体説を強く主張しよう。


『愚行の世界史』(タックマン)を読み始めました。翻訳が出たのは87年ですが、
このところ、ほうぼうで引用されています。先日古本屋で見つけたので購入。
大部なので、全部読み通せないかもしれません。

著者は、まず悪政を四つに分類します。
1、暴政または圧政。2、過度の野心。3、無能または堕落。4、愚行または頑迷
本書が扱っているのは、このうちの4なのですが、わたしには3と4の区別がつかない。
1章で愚行の例として出てくるアステカ王国のモンテスマのとった対コルテス政策は、
この分けかたでは、むしろ3に分類されるのではないか。
愚行は無能の結果ではないか、とも思う。

ともあれ、本書では三つの歴史的愚行が胸のすくような筆致で解剖されてゆきます。
1、法王庁の堕落(宗教改革を招いた)。2、大英帝国の虚栄(アメリカの独立)。
3、ベトナム戦争。

また著者は、ここに取り上げた3つが愚行であることの根拠として、こう挙げています。
1、当時のひとびとの目から見ても明らかに無益と認められていたこと。
2、実行可能な選択の道があったこと。
3、統治者個人の政策ではなく、一個人の政治的生涯を超えて続くグループの政策であること。

いずれ日本の衰亡も(再び!)こうした書物の題材になる日がくるのでしょう。
この3つの条件をすべて満たしてなお、まっしぐらに破綻の道を突き進んでいるのですから。

02/11/5



週刊ポストに見開き紹介記事


いま発売中の週刊ポスト11月15日号に、『疾駆する夢』の見開き紹介記事。
題して「佐々木譲『疾駆する夢』は、迷えるサラリーマンのバイブルだ」
サブタイトルが「話題の企業小説に男泣き」

担当編集者さんが仕組んでくれたパプリシティ記事ですね。
片山修、日下公人、塚本潔の三氏が、感想を語ってくれています。
というか、『疾駆する夢』を語りつつ、不況下のサラリーマンを激励しています。
とてもありがたい記事。
来週には、たぶん『日経ビジネス』に著者インタビュー掲載。

02/11/4



楽しみは町の外にある


きょうから別冊文春『ユニット』最終回。
ほんとに今回で終わるのかどうか心配です。予定枚数はとうに超えているのだけど。


夜は近所の酪農家さんのギャラリーで、南米音楽のミニコンサートと、
フォークダンス観賞の集い。

当地では、人生の楽しみや豊かさは、市街地ではなく、まちがいなくその外にある、
という気がします。アウトドア・ライフに限らず、おつきあい全般の舞台や、
芸能・文化に触れる「場」が、市街地ではない。

個人の持つ空間が広く、パーティや何かイベントを実施するのに、
市街地の繁華街の飲食店や商業的スペースを使う必要がありません。
何かあるたびに、市街地に集まるしかないというライフスタイルは、
たぶん大都市圏に特有のもので、世界的に見ればむしろ、異様なものなのでしょう。

都会の場合、個人の持つスペースが小さい分を、公共的・商業的スペースの時間借りで
解決した、というのが、歴史的な順序なのかもしれない。

当地で楽しさや豊かさが町の外にある理由として、空間のサイズの問題だけではなく、
町には事実上、他人がパッケージしたものしかない、ということもあるのでしょう。
大都会の魅力というのは、そのパッケージがよりどりみどり、という点にありますが、
選択肢が少ないなら、あえて市街地に出ずに、自分の生活の場で、
オリジナルなものを作ってしまったほうがずっと楽しくなりますから。


日中は雪まじりの北風。積もるほどの雪ではなかったのですが。
夜になって快晴。月明かりはないのに、星の光だけで明るく感じられる星空。
今夜はそうとうに冷えそうです。

02/11/2



カレンダーを見て青ざめる


おっと、もう11月です。初雪も降ったし、気分としてはもう2002年は終わりかけ。
冬支度をせぬままに(越冬準備をせぬうちに)、薄着のままで途方に暮れている男ひとり。
なんてことを考えている余裕もほんとはないはずですが。

4日に、何か用事をひとつ入れたような気がするけれど、先日の一件と同様に、
メモも見当たらない。何か締め切りだったろうか。誰かの来訪だったろうか。


『疾駆する夢』について、日経ビジネスで著者インタビューを受けました。
11月15日ごろの発売の号に掲載でしょうか。市販されている雑誌ではありませんが、
読者層としては、ぴたり重なっているはずです。

このインタビューの際、わたしの発言の中で一番同意してもらえた部分。
「日本の企業小説というのは、ごく一部の例外を除いて、ほとんど「人事小説」です。
その産業が持っている魅力や特有のシステムの面白さを描いたものは少ない」

産業活動を人事の面からだけ取り上げると、けっきょく「豪傑小説」「教養小説」になって
しまうのですね。人徳があって人心掌握力にたけた人物が成功し、企業の、あるいはその業界の
トップになれる。すべては主人公の「器」に収斂してゆく。

『プロジェクトX』は、一篇ごとに出来にムラのあるシリーズです。
わたしにとって鼻につくのは、それが技術開発の物語ではなく、部下操縦術の物語に
なっているとき。これは観ていて、鼻白みます。だいたい、ひとの扱いの技術なんて、
批評的視点なしに取り上げれば、嫌らしいものになるに決まっている。
経済誌でもよく、企業トップが自分の部下操縦術を得々と語ったりしていますが、
本人がそれを「技術」として語ってはいけないのではないか。

とまあ、『疾駆する夢』を書き出したうしろには、こんな想いがあったのですが。


サイトの引っ越しもまだ終わらずに11月。
いつできるだろう。


02/11/1


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