きょうのノルマぶんの枚数を書いてプリントアウトしているところに、
向かいの酪農家さんから電話。
初乳が出たので、初乳チーズを作ったから持ってゆきますとのこと。
ありがたくいただき、ワサビ醤油でワインのつまみにしました。
子牛を産んだ母牛が、出産後に最初に出す乳を初乳と言います。
きわめて栄養価の高い牛乳。成分も、たぶんふつうの牛乳とはかなりちがうのでしょう。
これを少し人間がもらって、チーズを作る。初乳が出たときしか作れないのと、
市販するには、初乳はたぶん衛生基準を満たすことができない。というわけで、
この地方でも、酪農家以外はなかなか口にできない食物です。ちょっと自慢。
今月の自動車の燃料代は、5400円。一回給油しただけです(わたしの車はディーゼル)。
先月とほとんど変わりません。先月ぶんが少なかったのは、
仕事場にこもりきりだったその結果だし、今月は、生協加入の効果でしょうね。
とにかく街へ出る回数は、確実に半分になりました。でも、これ以上は減らさないほうが
精神の健康のためにはいいでしょう。
さきほど、小説すばる編集部から、短篇掲載のついでにアンケートに答えてほしいと依頼。
「あなたにとって、これまで一番印象的だったサクラ」
答の候補を列記してみると。
1、自分で苗木を植えたエゾヤマザクラが、最初に花をつけた年の
ささやかなサクラ(倶知安で)。
2、まだ駆け出しの物書きだったころ、知り合ったフリーのライターさんたち(知らない世界の
ひとたちだった)と一緒に観にいった深夜のフェアモント・ホテル周辺のサクラ。
3、バンクーバーの三月。葉が紫蘇の葉のような紫色をしているサクラの、
その並木の満開の花。
4、鈴木清順の映画『けんかえれじい』に出てくる、(たぶん多摩川土手にある)、
大きな一本だけのサクラの木。そこからはなびらが散っただけで、文芸座の館内が
どよめいたくらいの耽美的美しさ(あれはモノクロの映画だったのですが)。
こんなところだろうか。
02/2/26
このところ、鈴木宗男関連ニュースには、中標津、の地名がよく出てきます。
知り合いからは、そっちは民度が低いんじゃないのか、と怒りのこもった
厳しい指摘があった。鈴木宗男は選挙制度が変った直後の前回は、
比例区で出たのだけれど、たしかに地盤であり、選挙区。
失礼な指摘、とは思うけれども、全国的な基準でみれば、そういうことなのでしょうね。
おれが選んだわけじゃない、と思いつつも、恥ずかしい。
森喜郎が総理だったころ、あのひとの選挙区のひとも、こんな想いだったのか。
昨日は当地で、鈴木後援会の拡大役員会議。報道陣シャットアウトで、取材には応じるな、と
指示があったと報道されています。「マスコミはでたらめだ」とマイクに怒鳴っている
後援会員の姿が報道されていましたが、でたらめでないことは後援会がいちばんよく
知っているはず。「それでも地元にはありがたい存在」とでも言うなら、まだ誠実と言えるのですが。
昨日の役員会にじっさいに出席したひとの話では、会場内では、
ここでの話を録音してはいかん、と注意があったそうです。
雪印乳業のこんどの品質保持期限書き換え問題でも、舞台は別海工場でした。
もう北海道の雪印だけ被害者みたいな顔をしていることもできなくなった。
工場従業員たちも、マイクを向ける報道陣に対して、ほとんどがふてくされたようにそっぽを向く。
あのような態度は、テレビ視聴者に「やっぱり会社全体が駄目」と確信させる。
北海道新聞は、四十代の女性従業員から、
「あれは書き換えたのではなく、品質保持期限を見直しただけだと思う。問題はない」
という言葉を引き出しています。
会社まるごと、末端従業員まで、とっくに品質保持期限が切れているということでしょうか。
農林系族議員の圧力で、雪印はネスレへの身売りの道を閉ざされた。
そしてこんどの書き換えについての居直り。食品に続いて、乳業も解散でしょう。
02/2/25
92年のNHK大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』総集篇が届いたので、これを
観はじめました。かたいっぽうで日曜の夜は『利家とまつ』。
いやおうなく比較してしまうことになります。
役者に限っていいますと、信長を演じるのが、緒方直人と反町隆史。
童顔の好青年の緒方直人と、天才肌のアーチストのような傲岸不遜の雰囲気のある
反町隆史を較べるなら、やはり反町信長が、一般視聴者の持つ信長イメージには
合っているように思います。刷り込まれた先入観、と言ってしまえばそれまでですが、
先入観をひっくり返してくれるだけの新しい人物を造形できない場合は、
先入観を裏切るキャスティングでは、ミスキャスト、ととられてしまう。
総集編で判断するのは難しいけれど、
緒方信長(放映時、あまり熱心には観ていない)の評価はどうだったのでしょう。
思い出したことひとつ。
『始皇帝暗殺』の始皇帝を演じた俳優も、その意味ではミスキャストという印象でした。
顔だちがどうも貧相に見えた。中国には皇帝を演じるだけの風格のある役者もいないはずはないのに。
ある知り合いは、皇帝もほかの役も、しばらく顔の区別がつかなかった、と言っていました
(あれだったら勝新太郎のほうがいい、と言うつもりはありませんが)。
あの映画、始皇帝の背が低いことも気になりました。
たしかこの点については、監督が弁解していた。
あんな大事業をやった人間は、むしろコンプレックスのかたまりであったはず。
だから背の低い俳優をあえて選んだのだと。
しかし秦は漢民族の中でも北方系で、ひとびとの背は高かったと、
西安でガイドから教えられたことがあります。だったら、やはり始皇帝には、
背の高い(少なくとも、ほかの男優と並んで小さく見えない)俳優をあてるべきだったように思う。
この話題、言い出せばきりがありませんね。
最近のもうひとつの失望。『グラディエーター』のラッセル・クロウ。
肉体が、ぶよっとしていて、剣闘士に見えない。役柄にふさわしいだけシェイプされていません。
古代史劇俳優についてのわたしの基準は、どうしてもチャールトン・ヘストンか
カーク・ダグラスなので、見方が厳しいのかもしれませんが。
02/2/24
21日は、札幌に出ました。
いま札幌にいる志水辰夫さんのところで、M社が打ち合わせ。
これに合わせて、同じM社のわたしの担当さんたちとわたしも札幌で打ち合わせを持つことにして、
そのあと、合流しましょうということになった。
この情報を事前に聞いたS社、B社の担当さん(奇しくもふたりとも、志水、佐々木を両方担当)が、
ではそこにぜひわたしたちも合流したいと、けっきょく昨日は、
編集者さん6人が札幌にやってきた次第。
合流後はご接待でたいへん楽しかったのですが(みなさま、ごちそうさまでした)、
出版社だって理由なしに接待費や出張費が認められるわけではない。
合流前は、「連載を二本も入れてしまって、うちとの約束はどうなるのかね」(要旨)
というテーマの話し合いで、針のムシロ状態でした。
志水さんは、最初二年間だけの予定で札幌に仕事場を移したのですが、温泉が好きで
山が好きで、ということもあって、札幌がすっかり気に入ってしまった。
予定の二年はとうに過ぎてしまいましたが、もう少し札幌で暮らすようです。
きょう(22日)は、ひとと会う予定を一切入れずに、飛行機の時間まで買い物。
ビックカメラ(ビックピーカン)、ユニクロ、西武Loft、紀伊国屋、無印良品、それに
札幌ファクトリーのEddie Bower、TimberLand、名称不詳の生花店。
スーパーマーケットでの買い物さえしなくなった反動でしょう、
デスクまわりの商品とかPC関連商品、衣類など、ずいぶん買ってしまった。
先日から四輪駆動車のクラッチの調子が悪く、昨日も(心配していたとおり)ギアが入らず、
焦りました。すでに法定耐用年数を過ぎた車ですので、このところ、故障・修理が多い
軽自動車のほうを使おうかと思ったけれど、こちらはバッテリーも上がり、
雪に埋もれ、ボンネットを開けてみたら、エンジンルームには
雪がぎっしりと吹き込んでいて、春まで使えそうもない状態。
四輪駆動車のほうをギリギリまで暖気運転していると、なんとか二速から入るようになったので、
これををだましだましして整備工場へ持ってゆき、飛行場まで送ってもらった。
一日二日で直るでしょうと言われたのだけど、きょう帰ってきてもまだ修理は
終わっていませんでした。そろそろ寿命、と宣告されるかもしれないけど、
いま車を買い換える余裕はないな。
02/2/22
やっと快晴。朝、外に出てみて、笑ってしまう。
仕事場周辺も車も馬小屋もほとんど雪に埋もれています。
表の北海道道には除雪は入っておらず、防雪柵の後ろ側には二メートル近い吹き溜まり
(それが延々と数キロ先まで続いていたはず)。
向かいの酪農家さんは、病院に行くために、やむなく道道を500メートルほど、
自力で除雪していました。500メートル先に南北に走る町道との交差点があって、
こちらの道のほうは、朝に除雪車が入ったのです。
午後になって、酪農家さんが開けたその車一台ぶんの幅の通路を使って、
ヤマト運輸が配達にきました。「午前中の指定だったのですが」と恐縮しながら。
あ、この道は確実に町までつながったのだと実感。
終末戦争を描いた映画や小説で、郵便制度の復活が文明再生の指標とされる、
という描写・記述がいくつかあったような気がします。
日本にあてはめて言えば、ヤマトが動くようになったら、
世の中に秩序が回復したということとなりますか。
阪神大震災のときは、何日目くらいにヤマトは営業を再開したのだろう。
道道のほうは、けっきょくきょうも終日除雪されなかった。
あの自力除雪がなかったら、この地区は丸三日間孤立していたことになります。
となると、吹雪の日のための施設『自発光式大型視線誘導標』の意味をまた疑ってしまう。
吹雪の日には除雪もせず、あっさり通行止めとするなら、あの誘導標は必要なのだろうか?
02/2/20
いま19日の夜11時前ですが、猛吹雪は48時間続いています。
きょうはこの地方、国道は寸断、方々で通行止めで、峠も軒並み通行止めです。
国道でさえ除雪できないということは、それ以下の規格道はもうお手上げ。
さきほどのニュースでは、隣町で半日立ち往生していた5台の車が、陸上自衛隊の出動で
救出されたとか。きょうは、隣町の小中学校はすべて臨時休校です。
きょうの午後から風は北西寄りに変ったけれど、強さはまったく変っていない。
犬も怯えるほどの強風です。馬たちも、馬小屋にこもったきり。
中にまでかなり雪が吹き込んでいるはずで、だいじょうぶだろうか。
こういう日には、犬のためにも馬のためにも、大きなバーンが欲しくなる。
二日間、家から5メートル以上離れていません。公道までの道は向かいの酪農家さんに
除雪をお願いしているのですが、きのうきょうと、この酪農家さんも作業用の
通路を開けるだけで精一杯。とても除雪できる天候ではないので、安否確認の電話が
あったけれども、除雪はしていません。除雪されたところで、
どっちみち仕事場の前の道路には除雪車が入っていないのですから、どこにも行きようがない。
停電が心配だったけれど、いまのところ、まだつながっており、PCは使えます。心強い。
一日締め切りを延ばしてもらって、小説すばるに友近牧場シリーズ最終篇を送稿。
これも『ウエスタン移植の試み』のひとつで、様式からの逸脱の禁止、をみずからに課しています。
法律も習慣も生活様式もちがう場所に、同じ様式によるストーリーを作ろうと言うのですから、
毎回多少無理があるかなと思いつつの執筆。いっそ日本人をアメリカ西部に
もってゆこうかとも考えないではありません。中国人がアメリカ西部で活躍する映画も
増えてきていますし。ただ、わたしの世代だとどうしても『レッドサン』の悲惨な失敗を
思い出してしまう。むしろメキシコにもってゆこうか(榎本メキシコ植民−『夕陽のギャングたち』)。
『カストロ青春伝』(仮題)の件で、ユング的にメールひとつ、電話ひとつ。
担当編集者さんから、原稿直しの進行状況確認。もうひとつは連載途中にも
一度問い合わせのあった某社編集者さんから、あれはどうなっていますかという問い合わせ。
単行本化の予定がないのであればうちで、というありがたいお話。
6月刊行に向けて、はい、進めています。
『ステージドアに踏み出せば』文庫の解説の件で、担当編集者さんからメール。
コバルト編集部から出た作品なので、できればコバルト系の作家さんに解説を、というのが
編集者さんの希望です。お願いしたいかたが数人、候補として挙がっていますが、
さてどうししましょうか、というもの。最近はコバルトのパーティにもほとんど出ていないので
正直言うと、どなただったら引き受けてもらえそうか、それもよくわかりません。
編集者さんともう少し相談ということになるでしょう。
02/2/19
昨夜から猛吹雪です。このところ、当地が荒れるときは、必ず南寄りの風。
気温が上がり、湿った雪が降ります。
きょうは数時間おきに外に出て、ドアまわりの除雪。午前10時に郵便は配達されましたが、
そのあと道路は通行止めとなったようです。まだ除雪車も入っていない。
この吹雪は、明日昼ころまで続くとか。
生協加盟で、冷蔵庫がとにかくいっぱいになっているのがうれしい。
安土城の情報をネットでいろいろ集めていますが、記録にある『蛇石』らしき大石を、
アマチュアの城好きがすでに発見していたのですね。
参考資料には、どこに消えたかわからないと、例外なく記されているものです。
先年の天守台の発掘調査まで、この『蛇石』は、天守台の下に埋められているのではないか、
と推測されていたのに、発見されず、安土城をめぐる謎のひとつとして残っていたのでした。
この発見者は、まずこの石が、言われているような『蛇紋岩』のことではないと判断
(産地が遠すぎる)、なにかべつの理由で『蛇石』と名付けられたものだろうと考え、
立ち入り禁止の山中を歩いて、『蛇』の顔のようなかたちの大石を発見したのです。
写真を見ると、なるほど『蛇石』。大きさにも、発見場所にも納得できる。
たぶん天守か本丸の礎石にするつもりだったのだろうけど、運搬作業中に大事故があったので
(フロイスが伝聞を記述するところによれば、150人圧死)、山腹に放置されたのでしょう。
これって、かなり歴史的発見だと思います。
昨日の文章、『利家とまつ』をコメディと書いたことで、誤解されるといけないので追記。
コメディ、という言葉を、わたしはポジティブな意味で使っています。
コスチューム・プレイで言うなら、『恋に落ちたシェークスピア』は、コメディでしょう。
リチャード・レスター版の『三銃士』『四銃士』は、コメディのより過激なかたちとしての
スラップスティックか。こんどの大河ドラマには、これらの作品のようなセンスを感じます。
歌舞伎的でもなく、重厚な史劇をめざしているわけではない、いわば日常感覚的に描く
古い時代、歴史上の人物たち。
こういう演出って、好きです。正統派の史劇ももちろん好きですが。
引き続き、短篇。明日、送稿。
02/2/18
昨日のフイギュア判定問題で、異論のメールがすぐ2通届きました。
あの判定を支持する立場のひとからのもの。こんなに即座に反応があるということも、
わたしのサイトの場合珍しい。14日に話題になったときも、25%(サンプル数4)は、
たしかにロシア・ペア支持でした。わたしの見方は、圧倒的な多数派というわけではなかった
ようです。ちょっと誤解もあったようなので、文章を一部修正しました。
判定が不正、ということで、わたしはちょっと興奮したのでしょう。
昨日の文章の要旨は、判定が闇取り引きされようと、いずれ評価は落ち着くところに
落ち着くはずだ、ということです。ジャネット・リンは銅メダルだったけれど、
札幌オリンピックの女子フイギュアの真の勝者は、時間が決めてしまった。
取り引きされた金メダルの輝きなど、たぶん四年(つぎのオリンピックまで)もちません。
雪印の偽ラベルと同じで、苦労するだけ無駄、ということでした。
新作のための資料を、あらたにいま積極的に買い集めています。
直接関係する活字資料はすでに集まっていますが、周辺の参考資料ですね。
きょう、ネット上で注文したのは、92年のNHK大河ドラマ「信長」の総集編ビデオ。
都会の大きなビデオ・ショップなら棚にあるのでしょうが、ここでは買うしかない。
これが、テープ3巻で2万円少々。マイナーなソフトかもしれないけど、
仕事に使うのでもないかぎりとても買えない価格設定です。時代小説作家が
日本にそんなに多いとは思いませんし、誰が買うのでしょう(ビデオ・ショップか)。
先日買ったDVDソフト、『ウエスト・サイド物語』と『アマデウス』は、
どちらかが2000円、もういっぽうが2500円でした。
関連して、今年の大河ドラマ、けっこう面白いような気がします。武家社会を
サラリーマン社会に見立てる視点の時代劇はあまり好きではないのですが、
逆にこれをより徹底した今度のシリーズは楽しめます。皮肉じゃなしに、
『コメディ戦国出世双六』とでもサブタイトルをつけるとよかったのではないだろうか。
当地、今夜から大雪という予報です。
短篇、継続中。
02/2/17
昨日、犬を散歩させようと放牧地に出たところ、二匹の犬たちはいきなり放牧地の
奥へと駆け出してゆきます。雪原にキタキツネがいたのでした。
キタキツネはあわてて逃げ出しましたが、二匹の犬はたちまちキタキツネを
追い詰めてしまった。引き剥がそうとしたのですが、
アイヌ犬のほうは指示に従ったものの、甲斐犬のほうは少々興奮しているのか、
言うことをきかない。すぐにキタキツネと噛み合いとなり、
数分のうちにキタキツネを殺してしまった。
キタキツネは血を流してはいなかったから、ショック死だったかもしれません。
わたしが飼っているのは猟犬であったことを、あらためて意識させられました。
ソルトレーク・オリンピック、フィギュア・スケートの不正談合、あ、やっぱりかという印象です。
一昨日、町に出たときも、ペア自由のこの判定が話題になりました。
どうみても、カナダ・ペアの銀は、当日競技場がそうであったように、ブーイングものでしょう。
ショート・プログラムとちがい、フリーは芸術点重視ですから、
観客(の多数)が受けた印象はさほど見当はずれではないはずです。
トーニャ・ハーディング事件でも明らかになりましたが、フィギュア・スケートの
世界は、プロ・ボクシングとか馬術競技と似た体質の世界だということのようです。
札幌オリンピックの女子フィギュア・スケートを思い出します。
アメリカ人選手のジャネット・リンは、フリー演技、ジャンプの失敗で痛恨の尻餅、
結果として、芸術性は高く評価されつつも銅メダルとなりました。
(あの当時は、ショート・プログラムはなくて、代わりに『コンパルソリー(規定)』があり、
この点数が60パーセントというルールだったでしょうか。
ジャネット・リンは、この『コンパルソリー』が苦手な選手でした)。
銅だったけれども、いまになってみれば、記憶に残っているのはジャネット・リン。
観客を魅了したという点では、彼女がいちばんだった。
観たひとは、手堅くまとめられた演技や技術の正確さよりも、失敗をおそれなかった
ジャネット・リンの意志と、彼女の豊かな表現力に拍手を送ったのでした。
あの時代、もし『コンパルソリー』のルールがなければ、ジャネット・リンの銅メダルには
確実にブーイングが起こっていたはずです。
あのときの金、銀メダルが誰だったか、わたしは覚えていません。
覚えているかた、いますか? いま気がつきましたが、札幌オリンピックから、
もう30年もたっているのですね。
その意味では、カナダ・ペアが銀でも、べつにまったくかまわないのですが、
判定に不正があったとは。
モーグルの上村愛子も、ほんとは四位だったかもしれない。
短篇、やっとエンジン始動。
02/2/16
短篇進まず。
連載の仕事から短篇に頭を切り換えることは、じつはいまだ慣れない手続きのひとつ。
言ってみれば、航行している巨大タンカーを止めて、小型船に乗り換えるような
ものなのですが、慣性のついている巨大タンカーはすんなりと止まってくれない。
これが止まらないと、小型船を航行させることができない。
というわけで、昨日も、なんとなくだらだらと過ごしたような一日。
このところ、ひとつの連載からべつの連載への切り換えはわりあい
上手になった気はするのですが(並行して航行するタンカーのひとつからもうひとつに
乗り移るのは容易、ということに似ていますか)。
締め切りは迫っている。きょうは絶対に小型船のほうを発進させなければならない。
昨夜は、格子状防風林の保全・活用について、町役場と打ち合わせ。
北海道から雇用対策事業費が特別におりて、土木事業ではなく林業で新規雇用を創出したい、
という方針が出ているので、これを使って防風林の中に『馬の道』を整備してはどうかと
提案してきました。整備といっても、枝打ちと下草を刈るというだけですが。
もしこの提案が認められれば、第一期は市街地から農協の育成牧場まで、
防風林と、一部林道を使って、全長約35qの馬の道ができます。
これが将来は、尾岱沼や釧路方面から屈斜路湖に通じる長距離の『馬の道』の一部に
なるかもしれない。そうなると、この地方を馬で旅する、ということもできるようになる。
この『馬の道』沿いに、駅逓(ふうの牧場)を復活させたり、乗馬クラブが
いくつもできてくれたらいいと、遠大な期待があるのですが。
02/2/14
週刊新潮『天下城』連載の件で、昨日、直接の担当編集者さんから電話。
いよいよ始まるということで、舞台となる土地の現地取材(確認)の日程など話しましたが、
じつは仕事の中でも、こういう計画を練っている時期がいちばん楽しい。
いちおう3月末もしくは4月上旬に、第1回目の取材として、信州に行こうかと
考えていたのですが、この時期だと信州の北はまだ雪がありますね。
現地確認にはちょっと早い。このときは、2回目として考えていた名古屋と
近江近辺の取材にすべきかもしれない。
このところ、当地は一日の最低気温がマイナス20度近くまで下がっていたようです。
けっこうな寒波がすでにきていた。日中は、マイナス3度か4度くらいまで上がるので、
あまり寒いという気はしていなかったのですが、仕事場にこもりきりだったせいかも
しれません。今朝は地吹雪。空は晴れているのに、雪原の上を強風が吹き抜けて
ゆきます。犬も怯えるくらいに、風は強い。放牧地の馬の身体も真っ白です。
さあて、きょうは週刊ポスト原稿を2本送ろう。
ファクスを送って、いま備忘録を確認したら、小説すばるが18日締め切り。
友近牧場シリーズの連作の最終篇、ただし、時間は前後してのエピソード、50枚。
休む暇もないけど、きょうは頭を切り換える日にします。
02/2/13
北海道で暮らしているせいでしょう、スポーツは苦手であるにもかかわらず、
それでもやはりウインター・スポーツは身近であり、生活の中にあるものです。
わたしの場合はとくに、クロスカントリー・スキー(山歩きスキー)。
5年前までは(体力や膝に自信もあったころは)、多少アルペン・スキーもやっていました。
ですから、たとえ自分の技術は最底辺のものであれ、
サッカー少年がワールドカップに胸ときめかせるように、
冬季オリンピックにはいくらか興奮してしまう。夏のオリンピックよりも、
冬季オリンピックはわたしにとって確実に、自分とつながっている世界です。
これが夏のオリンピックとなると、その競技の大部分は、たとえば体操にせよ
柔道にせよ、わたしにとって異世界のことなのですが。
というわけで、昨日きょうと、わたしが激しく魅了されたもの。里谷多英の膝。
02/2/11
この一週間ほど、最高気温がプラスになる暖かい日が続いていたのですが、
一昨日あたりから寒波。昨日は夜7時くらいで、マイナス10度でした。そういえば、
昨年、マイナス30度の大寒波がきたのも、たしか2月中旬。まだまだ油断はできない。
町では、広場に大雪像がいくつもできて、冬まつりが開かれています。
これにタイミングを合わせて、昨日は格子状防風林を北海道遺産とする認定証の授与式があり、
さらに、防風林保全をめぐるシンポジウム。参加してきました。
シンポジウムでは、景観をめぐっての北大工学部教授・小林正嗣氏の講演が
興味深いものでした。
「イギリスは、産業革命によって荒廃した国土を、アジアの生活様式の影響を受けて作り変えた。
その結果がいまのイギリスの田園の景観である。北海道の東の地方は、
イギリスと同じように、都市と農村のありようを変えて、
美しい景観を作ってゆくことができるのではないか」
わたしは、景観についてのイギリス人の美意識が、なぜそのように
劇的に変化し、確固たるものになったのか、そのあたりを詳しく知りたい。
景観に関する美意識というものは、案外たやすく影響されるのか、
それとも人類一般が普遍的に持ちうる感覚なのか(問題は作り出す経済力だけで)。
日本で生まれ育ったわたしが、少なくとも中学生のころには、イギリスの風景写真を見て
やはり美しいと感じていたということ自体が、少々ふしぎでもあります。
02/2/10
40代の友人が、当地の第三セクターに正規職員として採用されました。再就職です。
職員ひとりの公募に対して26人の応募があったとかで、
友人は筆記試験を受けてこの難関を突破したのでした。
これまで2年間、彼はその職場で臨時、嘱託の職員として働いていました。
つまりその働きぶりと能力が正しく評価されての採用ということでもあると思うのですが、
半公営の企業体ですので、正規職員の採用は厳格に公募で決められる。
競争率も激しくなるわけです。この時世ですし、だからいっそうこれはうれしいニュース。
昨夜はそのお祝いで旨し酒を飲みました。
そもそも彼がその前の職場を辞めたのも、周囲が拍手したくなるような理由に
よるものだったので、ほんとうに、よかった、よかった、という想いです。
ついでに、労働問題についてのわたしの持論。
日本では労働市場(あまり好きな言いかたではありませんが)が、きわめて
固定化、硬直化して、社会の活力を奪っています。
欧米にならい、年齢差別禁止法を制定する時期にきているでしょう。
求人には、年齢制限をつけてはならない。
女性差別同様、労働者を年齢で差別するのは時代錯誤です。
男女を問わず優秀なひとは優秀。仕事ができるかどうかだけを問題にするなら、
雇用する企業の側だって、年齢制限などしていられないはずですが。
土曜は、生協から注文品が届く日。きょうは荷物と来週用のチラシのほかに、案内が
一枚ついてきました。雪印食品の商品の取り扱いをやめた、という連絡。
組織的なものかどうか見極めてから結論を、という方針だったそうですが、
会社ぐるみの犯罪とわかったので、全面的に取り扱い停止。
雪印に生産委託していた商品も、すべて廃止にするとのことです。
じつを言うと、わたしは雪印の『ホテルの朝食』というソーセージが好きだったのですが、
もうあれも食べられなくなる。ちょっと残念。あ、もちろん雪印だから好きだったわけでは
なくて、ほかのメーカーが同じ種類のものを出していないから食べていたということですが。
02/2/9
昨夜は夕方から霧。おかげで今朝は、あたり一面の木々のすべての枝に
白く細かに霧氷がついて、夢幻的な光景でした。
スタンダールが書いた、岩塩鉱山に枯れ枝を置いておくと、
やがてその枝に塩がついて、という結晶作用の話を思い出しました
(たとえ話のほうではなくて)。
きょうもまた夕方から霧です。明日もきっと同じように霧氷ができることでしょう。
朝、8時前、注文していたデスクが届きました。早い。
届くのは土曜日くらいかと思っていたのですが。
配達屋さんにすぐ組み立ててもらい、先日までPCを置いていたコーナーに設置。
80×180pの大きなデスクなので、大量の資料を広げることができます。
ただし、注意しないと、ただの物置になってしまう可能性がありますが。
資料を広げて読むための専用デスクが必要だ、という想いはずっとあったのですが、
この3年間は、この仕事場を建てて引っ越してきたときのままの空間の使い方と
家具で、仕事をしてきました。なんと言っても、部屋の模様替えとか、
仕事スペースの移動というのは、引っ越すことの一段階手前ぐらいにエネルギーの
いることですので、そうとうのきっかけがないと、なかなか踏み切れない。
今回は、昨年『武揚伝』を刊行したのと、連載が立て続けに終わる、という、
タイミングとなったので、思い切ってやるか、という気持ちになった次第。
スペースの使いかたを変えてみると、これがけっこう使い勝手がいい。
いままで先延ばしにしてきたことが悔やまれます。
目標は、『ダークマン』(キング原作の映画化のほう)の作家の仕事場とするか。
ところでこのデスクは、フジサンケイ・グループの通信販売です。
じつはこの注文と一緒に、同じ日、ダイエーOMCに(心配しつつ)
べつのオフィス家具を注文したのですが、
やっぱりダイエー、と思わせることがあって、けっきょくキャンセルしました。
電話すると、のっけから見え透いた手口の身元調査。
最初からかなり不愉快になったのですが、とりあえずこらえて注文しました。
届け先からクレジットカードの番号まですべての質問に答えると、
最後に電話口の担当者が、あたりまえのように言います。
「ありがとうございました。では、お届けは、3月なかばころになります」
わたし「ちょっと待ってください。ひと月半もかかるんですか」
相手「はい」(品物を注文した時点で言ってくれなきゃ)
わたし「在庫がないということですか」
相手「そうではないのですが(これが異常だとはまるで思っていない
雰囲気)、この商品はよく売れているのと、お届け先が特殊な地域ですので」
と、特殊な地域?
ここで、わたしは相手がダイエー・グループだったことをあらためて意識します。
わたし「わかりました。そうであればいりません。キャンセルします」
相手「ありがとうございます。また次の機会もよろしくどうぞ」
在庫がなくても注文は受けてしまえ、ということなのでしょうね。
席がなくても注文を取ろうとする観光地の食堂の商売と同じ。
ダイエーは、小売り業をやりたい、という意志がそもそもあるのだろうか、
と考えるわたしは、あのグループに厳しすぎますか。
02/2/7
戦国期の築城家と軍師の物語、どうもうまく連載枠が取れない、と前に書きましたが、
紆余曲折を経て、最終的に週刊新潮で連載と決まりました。なんと目の前、6月からです。
まったく新しい題材についての小説なので、ちょっと身震いします。
これも構想はほぼ10年。いつか書くぞと決めたのは、『武揚伝』が先だったか、
それともこちら『天下城』だったか。この作品については、タイトルも早くから決めていました。
3月で週刊ポストの連載も終わるので、ここで遅れていた書き下ろしを一気に進められるかと
思っていたのですが、6月連載開始だと、4月からはもう書きだめに入っていなければ
なりません。書き出しはとくに時間と労力が必要ですし。
こうなると、書き下ろしのほうは、少しまた脱稿が延びることになりそうです。
関係各位、どうぞご理解を。
アウトソーシング問題はいっそう切実なものになってきた。
当地のシルバー人材センターを通じ、仕事場の清掃はひとにお願いするのが
よいかもしれない。
ほかにあと、ひとまかせにできることと言えば、何だろう。東京のセブンイレブンでは、
お食事宅配サービスを始めたようで、そのポスターを見ましたが、ここでは無理だろうな。
コンビニエンス・ストアまで、いちばん近いところで15キロという土地ですから。
02/2/5
昨日、配線工事をしなおして、フレッツ・ISDNへの接続(という言いかたでよいか?)完了。
ロフトの新しい仕事スペースが稼働しはじめました。気分はがらりと変りましたが、
環境整備にはもう少し時間がかかりそうです。このロフトには、本棚を置くだけの壁がないので、
リファレンス関係の本をどこに収納するか、これが悩み。屋根の傾斜の下のわずかな
三角形の壁の部分に、なんとか書棚を造りつけるか、じかに床に並べるか。
雪印の詐欺事件。わたしはこれを当初、企業人が愚かさゆえに起こした事件と
見たのだけれど、詐欺がこれだけ恒常的・組織的に、
かつ、いけしゃあしゃあと行われていたとなると、
もう企業犯罪という呼びかたさえ甘すぎるように思う。
むしろこれは、犯罪者グループがもっともらしい会社を作って、
食肉業界で荒稼ぎをやっていた、と表現すべきではないだろうか。
犯罪を問題にもしなかったのだから、現場従業員も組合も同罪です。
二年前の雪印乳業の集団食中毒事件のときは、被害が関西圏での発生だったせいか、
北海道では「雪印を応援する」とか、「頑張れ」という声が多かった。幹部を非難しつつも、
メディアもこういった雰囲気を美談仕立てで取り上げていたように思う。
そのこともあって、雪印グループは、けっきょく世間を甘く見てしまったのですね。
経済界からも、あれは企業ではない、という声が出てきた。雪印食品は、ほどなく
解散・清算でしょう。雪印乳業もネスレに吸収されて、雪印のブランドはなくなる。
当然の成り行きですが。
日経ビジネスの最新号が、いまのダイエーを取り上げ、再建が可能かどうかを検証して
います。こちらのほうも、記事を読むかぎり前途多難。売り場の士気は落ち、
しかもいっぽうで、バイヤーたちは相変わらず高圧的にリベートを要求しているとか。
この期に及んでなお、店の品ぞろえは、消費者の要求よりもむしろ、
リベートの多寡で決まっているのだ、と記事は解説しています。
いまの企業倒産の増大は、政策や経済構造の問題というよりも、やはりかなりの部分は
当事者たちの資質と判断力によるものなのでしょう。
「企業が死ぬとき」、わたしはこのテーマを、この先もしばらくは追いかけることになるな。
02/2/3
1月の自動車の燃料代が、通常の半分でした。ろくに外出しなかったことが、
この数字でもはっきりわかる。逆に、通信費はいつもの月よりも20%アップ。
社交生活のかわりにインターネットで遊んだ、ということになりますか。
先月末から、当地もようやくフレッツ・ISDNのサービスエリアになりました。
昨日は、サービスマンさんにきてもらって、再設定の作業など。
プロバイダーの都合で、きょうも作業継続となりましたが。
ついで、サービスマンさんと、仕事スペースをロフトに移すための相談。
ロフトのモジュラー・ジャックに多少手を加えることで、ロフトでもこれまでどおり
PCを使えることがわかりました。
いずれ、メインのPCを交換したときには、無線LANを導入し、
仕事場の複数のPCを使い分ける、ということになるでしょう。
仕事スペースをロフトに移せるとわかったので、通信販売でロフト用のデスクも注文。
この仕事場がまた少し「猫ビル」化します。でも、わたしの場合は、
仕事場が怪しげな妄想を育む場所となることを心配する必要はありません(小説家なので)。
むしろ、いまはなにより、スティーブン・キングが勧めるような
「ドアの閉じられた」仕事場造りを、追求すべきでしょう。
関連した話題。
以前、石山修武という建築家の文章で、毛綱毅廣(略字)という建築家が提案した
「給水塔の家」という住宅のプランを知り、たいへん心惹かれたものです。
これは、使われなくなった給水塔を改装して、住宅としようとしたもの。
実現はしなかったようですが
で、その石山修武さんが、この「給水塔の家」を紹介するにあたって、
ひとつの詩を引用していました。
これがまた、まるでわたしが憧れる住生活の行く末についての詩のようで、
読んだとき、ちょっと戦慄したものです。
(略)
男がひとりあったとさ
がらくた男爵 変わり者 役に立たないことが好き
がらくた男爵 ひとぎらい 働き盛りのひとぎらい
一族中の はなつまみ
男爵どののお住まいは お役ごめんの給水塔
世間様には 粗大ごみ 役立たずには値打ちもの
(略)
どこまでいっても世捨て人 いとしい棲みかにこだわって
ひねもす壁をなでながら 一歩も娑婆に出ないまま
ともだちひとりもいないまま こっそり死んだ塔の中
(略)
ほんの噂にすぎないが 上水道から聞こえぬはずの
水音混じり風混じり 今夜も耳を掠めるあれは
心残りのぼやきのオペラ あとのまつりのおなぐさみ
町のはずれの山の上 12時過ぎたら近づくな
夢とウツツの境目で 死ねない騎士の声がする
『がらくた男爵』覚和歌子
読んだとき、こうなってはまずいな、とは感じたのですが、
もし手頃なサイロのある離農農家が見つかったなら、
「がらくた男爵」になってもいいかとも、ときどき考えます
02/2/2
1月29日は、わたしが所属する推理作家協会の新年会。しばらくこうした行事には
出ていなかったので、出席しました。わたしは、このような集まりでは、
もっぱらその日出て行って飲むだけ。ほかの(とくに同年代の)会員さんたちは、
このような場を盛り上げるためにも、いろいろボランティアをしているので、
いつもたいへん申し訳ない気分になる。
宮部みゆき(敬称略)も、受付係を担当するのですから。
こういう場では、同業者だけではなく、ちょっとごぶさたしていた編集者たちと
話をするのも楽しみで、じっさいたいへん楽しかったのですが、
編集者の顔を見て、突然、遅れている仕事のことを思い出したりもします。
というわけで、このサイトに、業務用の備忘録ページを作りました。自分の手帳に
記しておくよりも、自分自身へのプレッシャーになるでしょう。
1月26日は、ニューヨーク在住のMさんが帰国したので、彼女を囲んで拙宅で
ホームパーティ。Mさんはフリーの放送ジャーナリストで、911事件のあとは、
友人知人たちにもニューヨークの生々しいレポートを送ってくれました。
そんなわけで、こちらの集まりには、谷中の友人たちのほかにも、
メディア関係者がけっこう参加して盛会でした。おかげで飲み過ぎ。
仕事場を離れていたあいだに、当地は大雪が降ったようです。たぶん一日で
70〜80センチ。馬の世話をお願いしていたヘルパーさんが、家まわりの除雪まで
やってくれていました。その除雪がなければ、車回しから玄関口までは雪に埋もれ、
昨夜帰宅してしばらくは、仕事場に入れなかったかもしれません。柳谷さん、深謝。
02/1/31
『ユニット』連載第2回分150枚ゲラ直し戻し。
ついで週刊ポスト、赤旗日曜版のゲラ戻し。
きょうはもう一本、週刊誌の原稿を書きたいのですが、やや消耗気味。
雪印食品の詐欺事件、組織的犯罪だったことはすぐに明らかになりそうですが、
わたしは、小さく報道されたつぎの事実が気になる。
1、国産牛と輸入牛では、カットのしかたがちがうので、検査官がひと目見たらわかる、
という食肉業界の関係者の証言。
2、雪印は輸入商社に対して、生産国現地で、国産牛と同じようにカットするよう求めていた、
という商社の証言。
BSE発生以前からなぜそんな要求を出していたか。想像できることは、ひとつです。
一昨年の集団食中毒事件のとき、あるテレビ番組で、雪印乳業社員が内部告発していました。
賞味期限切れで返品されたチーズは、ラベルを張り替えて再出荷するのが
日常茶飯だった、と。
こんどの事件でも、いわば商品の身元保証書であるラベルが、
ごくごく安易に事業所間でやりとりされていた。
わたしは、雪印は(乳業も食品も)、ラベルを張り替えて売ること、つまり羊頭狗肉、を、
企業の根幹のビジネス・ノウハウとして確立していたのではないか、
という気がしてきています。
02/1/24
雪印食品の「BSE対策費詐欺事件」、いやはや、唖然。
なぜこんな愚かなことができるのだろう?
昨日の第一報では、雪印食品の担当者(社長かもしれない。web上の記事)は、
「うちの制度から言って、そんなことができるはずがない」と突っぱねていた。
一転、きょうの会見。でも、「うちの社員はまじめすぎるので」と、またしてもとんでもない
言いわけ。現場も幹部も、まともな判断力に欠け、感受性が鈍麻しきっている。
こんどこそ、消費者も酪農家も、雪印を見限るべきではないでしょうか。
もう「応援」なんかしてはいけない。
最近自分で気がついたのだけど、わたしは「企業が死ぬとき」について、
ひと並み以上の関心があるようです。頭のどこかで、国家の滅びるときと
重ね合わせてみる、という意識操作をしているのかもしれない。
わたしはたぶん世の企業活動を、『十八史略』を読むように眺めているのでしょう。
ケン・フォレットに『ピラスター銀行の清算』という小説があります。タイトルどおり
主人公が破綻した銀行の清算業務をきっちりなし終える、という物語。
同じ銀行を素材にしても、これがジェフリー・アーチャーなら、
一代で大銀行を興した男の大サクセス・ストーリーを書くでしょう。
アーサー・ヘイリーなら、『マネーチェンジャーズ』という傑作があるけれども、
銀行の経営危機を救う男の奮闘の物語をサスペンスフルに書く。
ケン・フォレットは、ひとつの名門銀行が乱脈経営の果てに破綻してゆく過程と、
銀行家一族傍流の主人公が、できるだけほかに迷惑をかけぬようにと、
これをきれいに清算してゆく、という部分に物語を見た。
わたしも(いま、自動車メーカーを興した男の物語を書いてはいますが)、
ひとつの大企業がもろくも倒れてゆくという部分には、大きなドラマがあると思う。
たいがいそれは、高貴な悲劇というよりは、通俗でグロテスクな喜劇でしょうが。
『疾駆する夢』が終わったら、つぎは大企業が死んでゆく小説を書いてみようか、
と、いま思いつきました。そのとき、素材はどの業種になるだろう。
流通・小売? 自動車メーカー? 食品? 建設? ファストフード?
前の失敗があるので、金融業だけは避けようと思いますが。
いま、夜11時のTVニュースを見ていたら、神戸の生協では雪印の全製品を
売り場から撤去したという。雪印は、ほどなく消えますね。
02/1/23
ようやく当地にもフレッツISDNのサービスが始まります(ADSLではない)。
明日からつながるはずで、設定のマニュアルなど送られてきましたが、
はたしてわたしにできるだろうか。わけがわからないことになるのが怖いので
仕事が一段落してからすることにしよう。もうしばらくは、このまま。
関連する話題。
携帯電話のiモード機能を回復させようかと考えています。
じつはいまの機種に買い換えたとき、iモード機能を使うことはないだろうと、
わざわざ2000円の手数料を払って、はずしてもらったのでした。
なにせ使い道として想定できたのは、交通事故か乗馬中の事故といった
ときぐらい。だから、生活日常防水で、多少重くて大きく、ラバーグリップふうの、
ヘビーデューティなものを選んだのです。カメラで言うなら『現場監督』という商品の
コンセプトに近い機種。そしてiモード・サービスは契約せず。
でも、これだけ周囲が使うようになると、iモードも便利なのでしょうね。
昨日のアフガン復興会議の、カルザイ議長の演説はきわめて印象深いものでした。
数カ月前までわたしは、アフガニスタンではポルポト政権下のカンボジアのように、
指導者層でまともな人物はすべて粛清されるか殺されたのではないかと考えていた
(911事件の二日前に暗殺されたマスード司令官が、そのリストの最後)。
でも、周囲が指導者と認めるだけの人物は、やはり残っていたのですね。
もちろん西側社会的な見方から言えば、カルザイ議長も必ずしも
理想の指導者ではないでしょう。かなり苛烈な経歴が明らかになっていますし、
あの国で生き延びてきた、というだけで、そのしたたかさがわかる。
でも、少なくともリーダーの器であることはたしかなようです。
昨日書いた、とある日本の政治家と較べたりするのは、
まったく虚しいことですけれども、カルザイ議長の演説姿を見ていて、
映画『アラビアのロレンス』の中のある台詞を思い出しました。
ベドウィンの族長アンソニー・クインが、英陸軍将校のアソンニー・クエイルに
向かって言う台詞です。
ひとの器というのは誰にでも容易にわかるものだ、という意味の言葉ですが。
恋愛短篇小説のアンソロジー・シリーズ
『ラブミーワールド』第8巻(リブリオ出版)が送られてきました。
シリーズ全体の監修は、清原康正氏。大きな活字の、図書館向けの双書です。
この第8巻のタイトルは『別れの予感』で、わたしの『遠い風の音』という短篇が
収められています。ほかの収録作家は、森瑶子、三枝和子、常磐新平、伊集院静。
02/1/22
別冊文藝春秋『ユニット』第2回原稿150枚を、昨夜メール送稿。
深夜の送信になってしまって申し訳ありません、とこの場で担当編集さんに謝罪。
それにしても、このボリウムだと、ほとんど書き下ろしを書いている気分です。
きょう、頭の切り換えがうまくゆくかどうか。
右腕の筋肉が、ふにゃらふにゃらという状態で、力が入りません。
ゴムバンドが劣化して、まったく弾性を失ってしまったような感覚。
休めることが、たぶん唯一の対策でしょう。
鈴木宗男が、アフガン復興会議には日本のふたつのNGOを参加させるなと
外務省にねじこんだという。本人は否定していません。そんな次元の話ではない
と言っているだけ。
いやはや、復興で巨額の金が動くと決まったとたんに、このひとがしゃしゃりで出てきた。
でも、誰か911事件以前に、このひとがアフガニスタンの「ア」だけでも口にしたのを
聞いたことがあります?(報復攻撃前に、特使としてタジキスタンには行きましたが、
このひとが国際強調や平和を話題にしてまるで似合わないことは、
たぶんご本人がいちばんよく知っている)。
アフガン復興資金の投入先としては、このふたつのNGOは
排除しておかねばならない、ということなのでしょうね。
なんたって日本政府だけで、5億ドル(650億円)を出すんですから、
これを利権だと見抜けなければ、「清潔な政治家」と言われてしまいます。
田中真紀子とだって闘うだけの価値はある。
02/1/21
角川書店を通じて進めていた『黒船』(仮題)の連載、ほぼ本決まりとなりました。
決まったことの細部は省略しますが、中島三郎助というひとりの日本人の目を通じて、
ペリー来航からはじまる15年の激動の時代を描きます。
神奈川新聞で9月から連載開始、角川ミステリにも、同時連載です。
ダイエーが、産業再生法を使って救済されるようです。きょう再建策の正式発表?
救済されるということは、つまりもう倒産が秒読みだったということですね。
日経は(つまり日本の経済界は、ということでしょうが)、おおむね歓迎の論調でしたが、
ニューズウィーク日本版は『「死に体」企業の延命は日本をつぶす』と手厳しい。
日本経済の余命についても、空恐ろしくなるような予測を載せています。
ダイエー系スーパーマーケットを日常的に利用している実感から言えば、
わたしは、ダイエーの小売り部門の不振は、なるべくしてなった、と思います。
昨年、わたしはこの近況の中で、
「ダイエー系スーパーには、客の要望は聞いたふりをして無視しろ、
というマニュアルがあるのではないか」と疑問を出しました。
それ以降も、経営危機が深刻化してゆく中で、ダイエーの現場のモラルハザードは
いっそう目につくようになった。生鮮食品が傷んでいたり、
プライぺート・ブランドの商品が規格はずれの欠陥品だったり。
たぶん商品管理規定の見直しがあったり、なりふりかまわず「安く見える」商品を開発した
のでしょう。結果として、この一年のあいだに、たぶん2%から3%の顧客が
ダイエーを見限ったはずです。じんわりと、ダイエーはだめだよ、という評価が広まった。
現在のダイエーの危機は、債務の問題だけにあるのではありません。
ダイエーの救済策を検討する銀行や政府の関係者は、
財務諸表だけを見て、救済可能、と判断したのでしょうが、いま延命させたところで、
ダイエーにもとのように客がもどってくることはないでしょう。
救済策は、けっきょく無駄に終わる。
たくぎんが倒産する前、あの銀行はじつに細かに、せこい、と言いたくなるような手で、
手数料収入をかき集めるようになった。北海道の利用客は、その様子を見て
たくぎんの経営危機を感じ取ったし、そしてじっさいにたくぎんから離れたのでした。
大企業はある日ぽっくりと倒れるのではない。
危機は必ず、お客との接点で、細かなところに現出しています。
ダイエーについてここまで書くのも、じつはわたしは中内功という人物には
ずっと職業的好奇心を抱いてきたからです。ダイエーという企業体にも
やはり関心があった。以前、NHKのドラマでは、中内功を山崎努が演じましたね。
だから、いまの中内功氏個人については、多少の同情さえ覚えます。
またダイエー・グループのいまのイメージの悪さの原因のひとつには、
ダイエー・ホークスのオーナーの存在があるような気がします。
中内氏が陥ったこの事態は、人間一般の普遍性のある悲劇、なのかもしれません。
02/1/18
昨日は、午後にゲラ2本、原稿1本を送ったところで、突然の下痢。自律神経失調が出ました。
根を詰めるといつも出る症状。これを理由に、そのあとは完全にオフとして、
買い物に出かけ、ちょっとだけお酒を飲みました。そのとき考えてみると、この10日間で、
わたしが直接会話したひとの数はと言えば、わずか6人。
この中には生協の担当者などが含まれていますから、わたしの社交生活は
事実上なかったと言っていい。わたしはけっこうタフなのかもしれない。
富士通から、親指シフトのA5モバイルが出ました。
FMV BIBLO LOOX S9、155,000円。
ううむ。悩みます。
仕事スペースをロフトか収納庫に移そうと考えていますから、
そのためにもB5サイズのノートを買って、コンパクト親指シフト・キーボードをつなげて
使おうかと考えだしていたところでした。デスクトップ機の入れ換えであれば、
プライベート・ブランドの37,800円という製品でも十分なのですが、
このごろはモバイルの必要な場面がしばしば発生する。となると、
兼用できるB5サイズ・ノートがよいか、という判断です。
そこにこのニュース。携帯性では、この新製品を使うほうが断然いい。880グラムだそうです。
でも、仕事場でも使うには、あのオアシス・ポケットサイズでは苦しい。
でも、すでにA4サイズの親指シフト・ノートは発売されているのだし、A5サイズも出た。
となるとB5サイズも近々出ると考えてよいのかもしれません。
だったら、これが発売されるのを待ちますか。
もしこのサイトを見ている富士通のかたがいらっしゃったら、インサイダー情報を流して
もらえませんか。B5サイズのBIBLO親指シフト・モデルが出る予定はありませんか。
02/1/17
今週末の締め切りに向けて、書き続けています。先日のカウチポテトがきいたようで
頭はやたらに興奮している。なかなか寝つけないので、この二日ばかりは薬に頼りました。
一日に飲むコーヒーが、4杯か5杯。ふだんは2杯ですから、寝つけなくもなるわけです。
このままだと、頭がオーバーヒートで、冷却水が沸騰します。
今夜は町に出て、お酒を少し入れよう。きょう行って飲めば、十日ぶりのお酒か。
冷蔵庫も空になりました。
原稿はその日それ以上進まなくなっても、メモリーのべつの領域にはまだ何かやる余力がある。
とうとうこのサイトのデザイン変更までやってしまいました。暖色系を捨てたので、
いくらかよそよそしい、歓迎感のないサイト・デザインになったかもしれません。
昨日更新しなかったので、朝のうちにこれをアップ。
02/1/16
経済学者の野口悠紀雄氏が、やはり経済学者の浜田宏一氏と、
日本の経済をどう救うか、その対策をめぐって、論争を始めています。
詳しくは、リンクから野口悠紀雄onlineに入って関連の文章を読んでください。
野口氏は一見温厚そうですが、売られた喧嘩はきちんと買うかたのようです。
無責任に言いますが、こういう論争はたいへんおもしろい。
一年前とちがい、日本経済はすでに手遅れ、というのがこのところの
エコノミストの共通の認識のようです。
いまやテーマは、日本経済の再生、なんてことではなく、
最終的な破綻をどう回避するか、というところに移ってきた。
もうお手上げ、どうしようもありません、超インフレを待つだけ、という意見もあれば、
国家更生法を適用せよ、という発言もある。
金融緩和、国債大増刷、再度の公的資金投入、円安容認、
ペイオフ延期、インフレターゲット・・・
さまざまな政策が提案されていますが、素人の目から見ると、
どれにも激しい反対論がある。論争の調子も切羽詰まってきています。
エコノミストも熱くなって喧嘩するだけの事態、ということなのでしょう。
アルゼンチンの事態が、もうひとごとではなくなってきた。
19世紀の末、アルゼンチンは飛ぶ鳥落す勢いの国家で、
20世紀に世界の支配大国になるのは
アメリカかアルゼンチンのどちらかだろうと言われていたそうです。
21世紀は日本の世紀、と言われて、それを疑う者がほとんどなかった
この国の十年前を思い出します。
昨日、きょうと成人式があちこちであったのですね。那覇では荒れたようですが
わたしは映像は見ていない。でも、真面目に言って、ほんとうに成人式など
何の意味もない儀式です。やめてしまえばよいのに。
どうせ振り袖ショーになるんですから。
横並び圧力の強いこの社会で、振り袖を着ないで出席する女性もいるのでしょう。
そんなひとには、思い切り強く拍手をしたいという気はありますが。
わたしは成人式には出なかった。そもそも案内状のようなものがきたのだろうか。
わたしの世代では、成人式に出ていない、という者は少なくないはずです。
役所に認めてもらわなくとも、自分たちはもう大人だ、と思っていたような気がする。
いま成人式に出席するのは、皮肉なことに子供だけでしょう。
いまの若い世代でも、自立したひとはやはりきっぱりと、
式を無視しているのではないでしょうか。
腕の痛みは少し引きました。でも大事をとって、きょうはきわめてゆっくりと
キーボードを打つ。明日は湿布薬を補充しておこう。
02/1/14
右肩が熱をもってきています。五十肩の前兆でしょうか。湿布薬を貼りました。
同時に、手首と指にも、疲労感があります。
とくに右手の小指球と呼ばれる部分の下のほうに、うずくような感覚。
蟻走感にも似た感触で、ときどき、思わず身をよじりたくなります。
これまでもしばしばあったけれど、今回のはやや症状が進んでいるかもしれません。
たぶんキーボードの打ち過ぎからきた筋肉疲労です。明日までには治っていて欲しい。
『ザ・コンテンダー』、楽しめました。
アメリカのエンターテインメントの市場が、少しうらやましくなる娯楽政治映画です。
こういう素材でもきちんと(揶揄の対象とはせずに)エンターテインメントにできるのですね。
『13デイズ』にも同じことを感じたものですが。
もちろんそこには、素材にしても面白いだけの政治があるのだ、
ということでしょう(理想の政治がある、という意味ではありません)。
ラストは大統領(ジェフ・ブリッジス)の演説でみごとなカタルシス。
全体には、クリントン・スキャンダル攻撃に対する民主党側映画人からの反論映画という
ところでしょうか。ゲイリー・オールドマン演じる共和党長老議員が、徹底的な敵役です
(スター独立検察官の役どころですね)。
ゲイリー・オールドマンは58年生まれだからいま40代なかばですが、
それが70代かと見える老議員を演じる。信じがたいメイクアップ。わたしはしばらく、
その長老がゲイリー・オールドマンとは気づきませんでした。怪演です。
この映画、ジョーン・アレンとジェフ・ブリッジスがアカデミー賞候補になったというのに
ゲイリー・オールドマンは候補に挙がらなかった。これは不可解。
02/1/13
原稿が進まなくなったら、わたしの場合、考えられる理由はふたつです。
頭が疲れてきているか、プロットに弱点もしくは無理があって、書き続けることに
乗れなくなってしまったか。
仕事始めから一週間たっているし、きょうはその両方とも考えられたので、
手を休めて、仕事場の掃除などしながらプロットの再検討。やはり微調整することにしました。
で、あとは頭もしっかり休める。きょうは本は読まず、借りてきたビデオでカウチポテト。
借りたビデオは『ザ・コンテンダー』。
観ないうちから言ってしまいますが、これはヒラリー・クリントンが大統領選に立候補した
ときに起こるだろう事態についての、事前シミュレーションの映画ですね。
この映画の主人公は、民主党なのだろうか。
ハリソン・フォードが主演した『ランダム・ハーツ』という映画では、
共和党下院議員のクリスティン・スコット・トーマスが、
夫を事故でなくしたあとの恋愛について問題とされるのでした。あのときも、
そこにヒラリーの影を見た、という気がしたのですが。
ともあれきょうは、早めに更新して、ビールとします。
02/1/12
ニューズウィーク日本版1月16日号に、日本が対アフガン攻撃で自衛艦を出したことの真相が
暴露されています。記事のタイトルは『日本は国際社会の「不審船」だ』
わたしの言葉で要約すると、こういう内容です。
日本の「対テロ戦争」協力には、裏取り引きがあった。
協力を求められたとき、日本政府は逆にアメリカ政府に、
戦争責任にからむ補償請求の権利を放棄するよう、働きかけた。
ちょうど議会には、米市民の補償請求の権利を守るための法律が出されていたのだけど、
ブッシュ政権は日本を「対テロ戦争」に協力させるため、日本政府の要請を受け入れた。
協力が履行されたあとの昨年12月、ブッシュ政権は約束どおりこれを廃案とした。
あの自衛艦派遣は、「対テロ国際協調」という「理念」に基づいたものですらなくて、
けっきょくは補償問題という金にからむ取り引きだったということになります。
この裏取り引きで、日本は何を得たことになるのでしょう。ブッシュ政権の中にも、
日本政府が条件のように持ち出したこの要求に、嫌悪で顔をしかめた高官がいたはずです。
日本外交を「対米追随」などとあざけってはいけないのですね。
でも、なんとなく、うがいをしたくなる気分。
市民生協加入の件で、きょうクレジットの会社から審査のための電話。
「自営業で農業をされているということで、まちがいございませんね」
おっとっと、まちがいございます。わたしはそのようには申告していません。
申し込み用紙の控えを確認してみても、職種を記す欄はないのですが
(勤務先を記す欄はある)、担当者の質問に答えて自営業ですと答えたので、
その担当者が勝手に、わたしを農家と決め込んだのでしょう。
それだけよくこの土地になじんだということでしょうか。
どうせなら、「自営業、牧場主、馬を飼っています」と名乗りたいものですが。
02/1/11
日経新聞9日付けに興味深い記事。『鎖国から開国へ 幕末の改革に光』と題されたもの。
この記事によれば、静岡県韮山市の江川家(韮山世襲代官)の
文庫の総合調査が始まるとか。国立歴史民俗博物館長・宮地正人氏らの研究グループが
調査にあたるとのことです。文庫には三万点の文書が収められているそうですが、
これまでは総合的な調査はなされたことがなかったのだとか。
調査報告は順次ネット上に公開されるそうです。
記事は、とくに江川太郎左衛門英龍の事績が
より詳細に明らかになることを期待するという主旨です。
じっさい、英龍については、まとまった人物研究書は書かれておりませんから、
この調査はたいへん楽しみです。
江川太郎左衛門英龍は、『武揚伝』にも登場しますが、韮山に日本最初の反射炉を作った
ことで有名です。お台場(砲台)の築城も彼の業績のひとつ。
技術者としての側面だけが評価されていますが、わたしはそれ以上に、
英龍塾を設けて蘭学を教えた教育者の側面に功績があった人物だと思います。
また、『武揚伝』を書いているときは調べきれませんでしたが、もしかすると、思想家としての
一面もあったのかもしれません。英龍塾の塾生の中から、箱館共和国政権の中心人物が
三人出ています(榎本武揚、大鳥圭介、沢太郎左衛門)。
これは榎本武揚の人脈、という以上のものがあったのではないか、という気がするのです。
ただ、調査の総括主任だという歴史学者は、記事の中でこうコメントしています。
「(英龍は)勝海舟との交流など人脈も広く、坂本竜馬ら幕末の志士に関する
新たな発見もあるのでは」
気になるのは、やっぱり勝や竜馬との関係なのですね。
調査グループ全体が、この問題意識だけで固まっていなければよいのですが。
ニュース北海道『北海道遺産特集』、今朝(昨日深夜)NHK担当者からメールが届いて、
きょう10日の放送ではなく、11日になったとのことです。
夕方、アイヌ犬が嘔吐。驚いて吐瀉物を見てみると、貝の干物ようなものの残骸が
まじっている。ドッグフードの中身ではありません。昼間放してやったときに、道端で
ゴミでも拾って食べたか。正月の宴会に出た酒の肴の乾きもの、と判断しますが。
02/1/10
北海道のひとにだけお知らせ。
明日10日、NHK総合テレビ1800〜『ニュース北海道』北海道遺産特集で、
格子状防風林を守る運動が紹介されます。
この中にわたしも短い時間登場、少しだけ具体的な提言をしています。
釧路根室地方では、7日にすでに放映されたものと同じ内容です。
仕事場の様子も少し映ります。興味のあるかたはご覧下さい。
「江ノ島・秘密工作員上陸?事件」、その後、この騒ぎのばかばかしさを検証する報道は
ないかと、今朝から気をつけていたのですが、ありませんね。
そもそも、ウェットスーツを着た男たちが上陸、の通報があると、
なぜかそこに「偶然にも」北朝鮮の貨物船がいた、というふしぎ。
8日昼までの報道では、この貨物船は「海上保安庁の停船命令を無視し」
「船橋港では立ち入り検査を拒んだ」ことになっていた。夜には、この説明は消えました。
そして、何も発見できなかった、となったあとに、あれは「嘘の通報」とわかったという
神奈川県警発表。全体は「偶然」と「情報錯綜」のために起きた騒ぎというわけです。
当然、関係サイトでは公安の陰謀説が飛び交っています。
だいたいメディアの側に、江ノ島に工作員上陸か、という情報自体を、
こんなものでたらめ、と受け取る感受性のないのがおかしい。
工作員が上陸したという前提で、地元のおばさんの「おそろしいね」という発言を
流している局もあった。「ご冗談を」という反応もあったことでしょうに。
このところ、北朝鮮がらみのニュースでは、メディアは妙に煽情的になる印象があります。
今回も、報道関係者は、ほんとうは通報のいかがわしさを知っていて、
あえて大ニュースにして騒いだのではないかとも考えるのですが。
02/1/9
朝から吹雪。気温が高いので、夕方からはとうとう雨となりました。
ということは、明日朝にでも寒気がもどってきたときには、路面はまた完全にアイスバーンです。
長距離スピードスケート・コースができるわけで、町に出るのは恐怖のドライブ。
緊急の用事ができなければよいのですが。
きょう、市民生協に正式加入手続き。
渡された来週ぶんのチラシを見ていて、困ったことに気づきました。
レタス、ブロッコリーが取り扱い品目に入っていない。季節的な理由なのでしょうか。
定番の商品だと思っていたけど、レタスもブロッコリーもないとは。
あわててじっくり調べてみると、わたしがいつも買っているもので、扱っていない商品が
かなりあります。豚肉のブロック売りはないし、そば、うどんなどの乾麺がない。
コーヒーフィルターもない。シェービング・クリーム、電池、電球、蛍光管もありません。
アイデア商品は豊富だし、純金製ネックレスなんてものもあるのに(こういうものを、
生協の宅配システムで買うひとがいるのだろうか)。
生協に入っても、週に一回はやはり、必ずスーパーマーケットに行かねばならないようです。
こう書いているうちに、わたしは、日本の男性小説家の中では、
もっとも日常生活感覚を持った男ではないか、という気がしてきました。
『民族とは何か』関廣野、講談社現代新書を読む。
先日、エッセイを紹介したかたの新著です。というか、エッセイはこの新刊についての
ものでした。刺激的な論考です。
結論だけ取り出すと、日本人は「民族」になりそこなった敗戦国民にすぎない、
ということでしょうか。
下に書き写したような記述があります。
自分でも『武揚伝』の中に記した歴史認識なのですが。
「このクーデター(明治維新)は、大久保利通、岩倉具視ら一部の人間の純然たる
政治的野心の産物であり、思想も理念もなく、政治的に正当と言えそうな根拠もなかった」
「国家の創設に根拠がなかったとは信じられない人々は、ありもしなかった植民地化の
脅威という神話によって維新が残した空白を埋めるのである」
「この王政復古のクーデターが作り出した明治国家は、天皇主権を大義名分として
薩長の人間が同胞に対して占領軍のように振る舞う国家だった」
02/1/8
雑事のアウト・ソーシング化問題、まず最初に生協に入会しました。
食料品の調達は、配達ですませようというわけです。
この土地には、釧路市民生協があるのは知っていたのですが、共同購入方式だと思って
はなから入会は考えていなかった。共同購入方式では、わたしの場合、かえって手間で、
時間を取られますので。でも確かめてみると、個人宅への配達も可能だとのことです。
一回二百円の配達料がかかるだけです。二百円なら、これを利用しない手はない。
決まりきった食品で、特別な質を求めないものは、これからは配達ですませてしまいます。
買い物の必要が完全になくなるわけではありませんが、いまの週二回、週によっては三回、
という頻度は、週一回程度になるでしょう。
スーパーマーケットの駐車場では、いつも不愉快なことを目撃したり体験したりします。
考えてみると、わたしがスーパーマーケットにあまり行きたくないのは、その部分にも理由が
あるのかもしれない。生協を利用することで、そのストレスも少し減ります。
つぎは、家事代行サービスとか、これに代わる業者さんを見つけることだな。
と、こんなふうに書いていると、自分が映画『小説家を見つけたら』の
ショーン・コネリーになりつつあるような気がしてきた。
もちろんわたしは、あのように隠棲するつもりはなく、
ただ集中する時間を確保したいだけなのですが。
デスクを移動する問題のほう、配線をチェックしてみて、LANの工事が必要になると気づきました。
PCをスタンドアローンで使うつもりなら、いまのままでもよいのですが、でもその場合は、
原稿執筆用には処理速度の遅い古いほうのPCを使うことになる。
インターネット接続のこのPCは、この仕事スペースから動かすわけにはゆきませんので。
さて、どうしよう。新しいPCを買うか、LANの工事か、少し考えねばなりません。
02/1/7
当地は大晦日も大荒れだったようです。かなり長時間停電していたとか。
わたしは、冬の嵐のわずかな隙間に、なんとか東京まで飛べたということのようです。
スティーブン・キング『小説作法』を読んで安心したわけではありませんが、
きょうは年初の雑事とウォームアップで一日が終わりました。
きょう、仕事を始めるにあたってあらためて気づいたこと。
1、仕事場の再構築が必要。収納庫かロフトか、どちらかにデスクを移すべきかもしれません。
いまの仕事スペースには、雑事と日常が入り込みすぎています。
2、アウト・ソーシングの本格追求。昨日の近況にも書きましたが、生活の中で、
ひとまかせにできる部分はしてしまいたい。酪農家が酪農ヘルパーを使うように。
ただ、この土地にはパソナもないので、かなりむずかしいことなのですが。
3、2がクリアできれば、生活時間帯を再び昼にシフトしたい。本を読む時間をもっと
取らねばなりません。とくに、去年読んだ小説の数は少なすぎる。
二日、テレビ化『壬生義士伝』を、最初と最後のパートだけ観ました。
主人公は鳥羽・伏見の戦いの直後に死んでしまうのですね。箱館まで行く話なのだと思っていた。
箱館のパートでは、中島三郎助を夏八木勲がやっておりましたが、
名を「さぶろうのすけ」と呼ばれていたのが気になりました。自分の誤植は棚に上げて言いますが、
彼の名の読みかたは「さぶろうすけ」です。
02/1/5
2002年を期して、この近況ページの文体を、ひとりごとぺージのように変えようか
とも考えていたのですが、慣れないせいか、やはり違和感がある。とうぶんこのままで通します。
エッセイでは、「ですます体」は使っていないので、どちらがよりわたしらしい文体かと言えば、
ひとりごとページのような「だ・である体」のはずなのですが。
30日は当地は天気が大荒れ。午前中の飛行機便で上京(帰京)するつもりだったのですが
羽田発の便が釧路に降りてしまい、欠航でした。やむなく夕刻の便を再予約、
いったん仕事場にもどって、天気の回復を待ってから、あらためて夕刻の便で上京しました。
夏なら、釧路空港にも女満別空港にも二時間という土地なので、
たとえば中標津便が満席なら、釧路か女満別のどちらかの空港から飛ぶ、
という手もあるのですが、この地方が大雪では、この手は使えません。
31日は、某社編集者たちと打ち合わせ。年末休みなのに申し訳ありませんと謝ったら、
ひとりが言います。「いいんです。11時45分から藤田(宜永)さんと渋谷で飲むんですから」
聞くと、藤田宜永(敬称略)は紅白歌合戦の審査員のひとりだとか。担当の編集者たちは、
ほとんどが歌合戦終了後の飲み会に参加したようです。
4日、午後の便で、北海道の仕事場へ。
飛行機はガラガラでした。30パーセントぐらいの搭乗率でしょうか。
この時期、ANK(全日空系)の航空運賃は正規料金だけですから、往復7万2000円。
アメリカ大陸を横断できる運賃です。ふつうの勤め人なら、そうそう簡単に帰省したり、
遊びに出かけたりできる額じゃありません。ガラガラも当然です。需要がないはずはないのですが。
わたしはAIR DOができる前から、持論として
「国内路線も市場開放しろ。外国航空会社なら、この距離は半額で飛ばせるはずだ」と
主張してきました。いまだ、これを極論と思ったことはないのですが、なかなか賛同は
してもらえない。冗談に聞こえるのでしょうか。
明日は、除雪と、馬小屋の掃除と、買い物と。午前中は雑事でつぶれます。
ことしは、仕事と動物の世話以外の部分は、なんとかアウト・ソーシングとしたいと
思っているのですが。
02/1/4
きょうは近所の酪農家さんの家で、餅つき。去年は突然の運動で腰にきたので、きょうは
腰痛防止ベルトをきつく締めて参加。ふらふらしながらも、なんとか自家消費ぶんぐらいは
つきました。正月にはこの餅を食べるわけで、スローフードのぜいたくです。
きょうはまだ28日だけど、明日は更新する時間があるかどうかわからないので
2001年のやったこと・やらなかったことを、ここに記しておきましょう。
やった仕事
『武揚伝』刊行。じつに達成感のある大仕事でした。
連載『カストロ青春伝、キューバの血・ハバナの夢』終了。二度目のキューバ取材で、
カストロを間近に見ることもできました。2002年中の刊行予定。
連載『黒頭巾旋風録』原稿は97パーセント終了。2002年中の刊行予定。
できなかった仕事
角川春樹事務所書き下ろし『警官仕立て』(仮題)、2002年最初の仕事
毎日新聞書き下ろし、アジアン・ノワール・シリーズ 2002年二番目の仕事
継続している仕事
週刊ポスト連載『疾駆する夢』連載2年、あと3カ月で終了。2002年中に刊行予定。
集英社新書『馬を飼う生きかた』とっかかりだけ。年をまたいで、引き続き。
マガジンハウス『幻影シネマ館』、ゲラ直しは終わったのですが、イラストが多いのでこれに
時間がかかってる。鮮度が落ちるのが少し心配。
別冊文春連載『ユニット』これも2002年中に単行本刊行可能か。
そのほかにやったこと
昨年の落馬事故のトラウマをなんとか克服。馬を飼う生きかた、実践を積む。
中標津「馬の町」化計画、去年はただの夢だったことをいくつも実現。これにも少し達成感がある。
できなかったこと。
ダイエット。『武揚伝』最後を書いているあたりで、かなり体重増加。そこから落ちていない。
偏屈に生きること。何度も挫折。いや十分に偏屈だ、という見方もあるでしょうが。
ひとことでまとめるなら、2001年は『武揚伝』を出した年でした。
01/12/28