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近況
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2004年9月11日(土)
ブログ本格運用開始

『駿女』第4回。


頭を切り換える日でしたので、ついでに懸案のこの日記(近況)を、ブログに移しましました。
このことで、アップの手続きがいまより2段階省略されます。日記の更新が「日課」となったいま、この手間の簡略化はありがたい。「近況」のブログ移行に伴い、掲示板も新ブログのほうに移します。

新しい「近況」のURLは、http://blogs.dion.ne.jp/sasakijo/
この「近況」は、これまで同様、あくまでもまず関係各位に対する「業務報告」であり、仕事にまつわる話題が中心です。読書備忘録、映画観賞備忘録の意味合いもあります。

日記にコメントをいただいても、対応が追いつかないので、コメントはできない設定にします。ご了承ください。同じブログ内に掲示板を設置しますので、書き込みはどうぞそらちのほうに。これまで通り、掲示板でも佐々木はあまり発言せずに、ゲストの書き込みを読むだけ、ということのほうが多いかと思いますが。

ネーミング「佐々木譲のプッシュピン」、さほどの意味はありません。ボードにメモを留めるときに使うあのプッシュピンが頭に思い浮かんだだけです。メモ用紙、あるいはメモの中身よりも、メモを留める、という行為のほうが気になったということかもしれません。何かを指し示すとか、ちくりと言う、ということの暗喩にもなりそうでしょう?

これまでの「近況」は過去ログとしてこのまま残します。

exciteのブログは、「ニューヨーク日記」もありますので、やはり残しておきます。

チャンネル北国tvの「干し草通信Web版」は、地域系の話題を書くブログとして、いっそう過激に、挑発的に発展させます。料理、ペットなど、暮らし系の話題も書きます。

2004年9月10日(金)
乗っているのに

『うたう警官』、乗っているけれど、べつの原稿があるので、ひとまずきょうまで。あと100枚ぐらいだろうか。明日から『駿女』。

いくつか料理本を読んでいます。檀一雄は、『檀流クッキング』『美味放浪記』を読んだのですが、大先達に対して失礼と思いつつ、かなりの違和感も感じました。

氏は、料理のうまさ・まずさについて、ひとつ明快な判断基準を持っている。旬のものを、その土地で、その土地のひとがする調理法で食べるのがいちばんだ、ということ。

でも、これって、ほんとうだろうかと思ってしまうのですね。味覚が風土の中で育つものだとしたら、氏のように、世界中どこに行っても、その土地の素材をその土地の調理法で食べて、それが等しくうまいと感じる、ということはありえないと思うのです。

塩加減ひとつ取っても、土地ごとに(あるいは文化ごとに)適正値はちがっています。なのに、氏はどこでも、その土地の漁師や大衆食堂の素朴な食べ方を、絶賛する。

どこの土地の料理でもおいしくいただきます、という態度は、倫理としては正しいけれども、わたしには料理、食事は愉悦であり、快楽です(ちょっと見栄。ふだんの食事はただのカロリー補給です)。倫理では味を判断しない。わたしはその意味では檀一雄を誤解していたようです。氏は、料理と食事に関して、とてもストイックなひとなのでしょう。

あわててつけ加えれば、わたし自身も、好き嫌いの激しすぎる人間とは、あまり一緒に食事したくはないんですけれど。

『クローサー』(コーリー・ユン監督)
いやはや、これも『キルビル』でした。ビッキー(ヴィッキー)・チャオ、スー・チー、カレン・モクの三人の女性がからみあうアクション。ラストは香港のハイテク・ビル最上階で、ビッキー・チャオとカレン・モクが、倉田保昭(!)と日本刀で立ち回りを演じる。
アジア版『チャーリーズ・エンジェル』という評があるようですが、アクションはこちらのほうが軽快な印象があります。主演三人の体つきのちがいのせいでしょうか。楽しみました。

2004年9月9日(木)
データ復活

台風18号、札幌周辺はとんでもない被害になっていたようです。街路樹は2500本倒れたと言うし(街路樹、ということは、市の公園課管理のものだけでこの数の被害ということですね)、夕方の時点でまだ数千戸が停電したまま。死者も、北海道全体では7人だそうです。

新聞には、北大のポプラ並木のポプラがまとまって何本も倒れている写真が載っておりました。そういえば、わたしが中学生のころ、やはり強風で小学校のポプラが倒れ、生徒が下敷きになって死んだという事故があった。あのとき、ポプラの寿命は意外に短く、強風に弱いということが指摘されて、札幌市街地のポプラがすべて点検された。その結果、かなりの数のポプラが伐られたのではなかったかな。

そのとき北大のポプラ並木も問題となり、北大は危険だから立ち入り禁止にしようとしたけれど、なにせ札幌の大事な観光資源。いきなり伐るのではなく、ポプラ自体を更新させて並木道は残すということに決まったような記憶があります(おぼろげ。記憶違いかもしれません)。あのときもし更新が行われていたとしても、もう40年近くたっているわけだし、そろそろ寿命がきていたということなのでしょうね。

朝、ワープロソフトを立ち上げたら、復元の処理がまだ終わっていないというメッセージ。お、まだデータはどこかに残ってるんだ。喜んで復元作業。でも昨日と同じで、作業の最後の段階でフリーズしてしまう。どうせ駄目で元々だしと、あれこれアプローチを変えながら再起動を繰り返しているうちに、とつぜん新しいファイルが出現しました。データ復元です。ほ。

きょうはちょっと疲れ気味。

2004年9月8日(水)
強風と共に去りぬ

台風一過。昨晩深夜から荒れ始め、ほぼ16時間、吹きまくっておりましたね。北海道内、ほうぼうで観測史上初だという瞬間最大風速を記録。死者4人。わたしが子供のころは、北海道には梅雨がない、台風もこない、と教えられていたものですが。

風に加えて、暑さ。しかもひどく蒸しました。でも窓を開けるわけにもゆかない。こういう不快さも、北海道では珍しい。

夜11時に外に出てみると、星空で、北東の地平線すぐ上には、ちょっと不気味に三日月が出ておりました。

朝から断続的に停電です。仕事をするわけにもゆかないので、届いたばかりの文庫本を読んでいました。『檀流クッキング』『ショージくんの料理大好き』『食卓は笑う』(これは料理本ではなくジョークの本でした)。そのほかに資料。

でも、『うたう警官』、乗ってるという気分があったものですから、2時過ぎにはついワープロを立ち上げて、続きを書き始めてしまったのです。停電もどうやら終わったようだと思えたものですから。ところが3時過ぎにまた停電。やはり無理はよそうと、ここで中断しました。

夕食後に仕事再開。ところが、復元できるはずの原稿が、どうやっても元に戻せず、乗って書いた3枚か4枚分が消えました。しかも新しいシーンです。同じシーンの続きを書くのとはちがって、新しいシーンを書くことって、イナーシャが必要なんです。脱力してしまって、きょうはとうとう再復帰できず。とほほ。

A・J・クイネルの『燃える男』が映画化されたのですね。デンゼル・ワシントンがクリーシーの役。彼では原作の枯れた雰囲気は出ないように思いますが、それでも楽しみだな。

2004年9月7日(火)
降りたぞ!

『うたう警官』引き続き。降臨もあり。もうここまできたら、まっしぐらにラストを目指したいのですが、ほかの原稿もある。ううむ。

北海道新聞コラム、ゲラ直し戻し。

『町長室日記 逢坂誠二の眼』(逢坂誠二、柏艪社)
北海道の住人なら、著者のことはよく知っているでしょう。ニセコ町長です。10年前、当時35歳で、役場職員から全国最年少の町長に当選したひと。わたしはニセコ町の隣りの倶知安町に住んだことがあり、97年には半年だけ仕事場をニセコ町の郊外に持ったことがあります。逢坂町長のことには以前からとても関心があった。

隣の倶知安町と較べれば、逢坂町長のやってきたことは、大賞賛に値します。倶知安町のほうは、後志支庁と自衛隊駐屯地があることにあぐらをかき、ろくな将来構想もなしに、漫然と行政を進めてきた。「東洋のサンモリッツ」を自称し(恥ずかしい)、毎年のようにヨーロッパへ研修団を派遣していながら、乱開発を止めるでもなし、はっきり言って二流の町しか作ってこなかった(役場職員の質は、北海道でも最低レベルだろうと思う)。

この倶知安町にロス・フィンドレー氏がいなかったら、いまごろどうなっていたのでしょうね。彼が自分の会社を倶知安町に設立したことは、あの町にとってほんとうに幸運でした。


いっぽうでニセコ町の逢坂町長は、職員の資質を高め、行政のIT化をいち早く進めるいっぽう、プリンス・ホテルの城下町になりかけたあの町を、小資本・小ビジネスが育つ町にした。市街地の再開発も他のお手本になるべきものです。福祉や教育など、外の目には映らない部分でも、高い評価を受ける施策を実現をしてきた、と聞いています。こんどの合併協議でも、ニセコを含めた町村は、合併後も「市」にはならない決めている。地に足のついたこの選択は、逢坂氏の主張によるものでしょう。

わたしも著者の個人ホームページはよく読んでおりました。本書は、そのホームページに掲載された文章を集めたもの。本来は町役場職員に向けて書かれたものが、読みたいという読者が増え過ぎたので、個人ホームページにも転載されていたのだそうです。

本書を読んで思いました。ニセコ町ほどの小さな町(人口5千人弱)の首長でも、本人の能力と実績次第では、かなり国内的・国際的にも注目される「政治生活」が可能なのですね。正直なところ、ここに記される町長としての生活は、アメリカの市長とか下院議員クラスのクォリティのものではないだろうか。わたしには、Livedoorの社長の生活よりもずっと格好よく見える。

前回の知事選にあたっての対応についても、説明されています。若干まだ奥歯にもののはさまったような口調ですが。
べつのところで、民主党についてはけっこう辛口で書いていますので、こんどもし氏が大きな選挙に出るようなことがあったとしても、民主党公認ということにはならないでしょうね。

2004年9月6日(月)
惨劇予告

『うたう警官』に復帰。
わたし、この作品を今年中に刊行すべく必死です。以降、原稿書きに専念させてね。と書いたところで、邪魔をしてくるのはこのホームページなど読むこともないひとだけなのだよな。それでも宣言しておくけど、これを書いている最中、突然訪問してくるような無神経なやつが出た場合は、ほんとに惨劇が起こるよ。

仕事場にデスクをひとつ入れました。これを機に、仕事スペース全体の模様替えもと考えていたけれど、もうそれができるほどの余地もない。デスクを足しただけ。とりあえず二つのPCデスクの周囲はすっきりしましたが。

長崎新聞に、『Zero  over Berlin』刊行の記事掲載。共同通信配信のものです。
「日本の冒険小説 米市場に初登場」
もしかして、ほかのいくつかの地方紙にも、この記事は掲載されているのかな。地元メディアにも「日本のトム・クランシーの作品」と紹介されたとありますが、これはニューヨーク日記の中にも書いたビレッジボイスのことですね。

おかげさまで『天下城』も着実に売れています。


先日、札幌で時間があったときにビックカメラに入ったのですが、SONYのVaio Uという製品が気になりました。キーボードと本体・モニター部分が分離するパームトップ・パソコン(と呼んでいいのかな)です。わたしの場合、キーボードはとにかく親指シフトでなければならないので、ノートPCのキーボードはほんとうは不要です。このVaio Uは別々になっていますので、付属の折り畳みキーボードを使わず、代わりに親指シフトをつないで使える。わたしのような使い方をするユーザーにはたいへん合理的です。

体積も小さいし、なにより軽いでしょう(本体は600グラム以下)。モニターは5インチというサイズですが、原稿を書く分には十分じゃないかとも思う。ただし、外部ディスプレイを使うときは、専用のポートリプリケーターを使わなくてはならないのが問題かな。講演のために使うときは、けっこうな重さになってしまうかもしれない。コンセプトは面白いのですが、実用性はあるだろうか。Amazonのレビューを見ても、わたしの想定するような使い方をしているひとは、まだいないようですが。

使っている方、使い勝手などお知らせください。

2004年9月5日(日)
競技会デビュー

車で1時間少々の浜中町で、馬術大会がありました。馴致と調教の講習会に付属したイベントです。講習会のほうは金曜から行われていたのだけど、そちらはパスして、きょうの馬術大会のほうだけ見学(観戦)しました。 

というのも、新田次郎賞受賞祝いに地元のひとたちから贈られたクォーターホースの次郎が、この競技会でデビューということになったため。次郎は、近所の削蹄師さんのところに里子に出て、そちらで調教を受けていたのでした。障害も飛ぶようになった、と聞いていたので楽しみにしていた。きょうは、わたしが乗るわけではないのですが、馬主としては立ち合わないわけにはゆきません。

浜中町のたいへんよく整備された馬術競技場で、午前10時開始。出場する馬の数は15頭くらい。1頭が、いろいろな競技に繰り返し参加します。
わたしの次郎は、ジムカーナ競技B(初心者クラス)で、いきなり堂々の2位。46秒台の記録で、1位とはなんと0.28秒の差。オリンピックの短距離陸上競技並みの接戦だったわけです。乗ったのは、酪農学園大学馬術部出身のM嬢。

そのあと、フラッグ取り競技、団体リレーなどに出たあと、最後は障害飛越競技。次郎は50センチの高さのクラスに出場。残念ながら入賞は逸す。

自分の馬がこのような競技会に出て、ほかの競技馬に混じって戦うのを観るのは、ちょっと感激でしたね。我が子の運動会を観ている気分にかなり近い。「いい馬だね」なんてことを聞かされると、頬が緩みます。

トレッキングばかりではなく、こういう競技に出ることを、わたしのこの地の暮らしの目標のひとつにしてもいいかな。障害競技に出ることって、けっこう格好いいことに見えました。

出場者の最年少は、12歳の少女でした。この子が、50センチ級の障害競技にもきちんと出場している。この子の姿に、おじさんはちょっと見ほれてしまった。大きすぎるようなヘルメット(猟騎帽というやつです)に、プロテクター。乗馬ズボンに長靴。とても凛々しい(わたしはこのところ、馬に乗る美少女のイメージに取り憑かれていますね)。この子の父親が、障害を飛ぶ娘の姿に若き日のエリザベス・テーラーを重ねていたとしても、わたしは笑ったりしないな。

当地では、8月にも草競馬がありました。輓馬競走、トロッター・レース、繋駕レース、スピード・レースなどがまじった「競走」の大会。こちらは参加者も出場する馬の数も多いのですが、雰囲気がややワイルドです。きょうのイベントは「馬術」の競技会なので、こじんまりしていて、たいへんアットホーム。悪くない雰囲気でした。参加者は重なっているのですけどもね。馬術競技自体が「ゲーム」のようだ、というせいもあるかもしれません。

明日は、馬場の柵の修理もするか。

2004年9月4日(土)
犬の腫瘍を切除した

午前中、老犬を動物病院へ連れて行く。皮膚の腫瘍の切除手術。
病理検査しますかと聞かれたけれど、やめておきました。悪性腫瘍だとわかっても、もうかなりの高齢の犬なのだし、やれることはさほどない。
局部麻酔で切除しているあいだ、わたしの脇の下に頭を入れてじっとしている犬がいじらしかった。

『キルビルVol.1』(クエンティン・タランティーノ監督)をようやく観ました。
いやはや、舞台が日本に移ってからの「飛びよう」には驚きました。正直なところ、テキサス、カリフォルニアのシークエンスの演出センスで一貫されていれば、わたしにはうれしかったな。

この映画が、日本のプログラム・ピクチャーの何から引用しているか、もう語り尽くされていることでしょうね。いまになって観た者には、あのシーンはあれだぜ、と得意になって言える余地はもうたぶんほとんどないでしょう。でも、まだ誰も言っていないのではないか、と思えるものがひとつだけありました。青葉屋の大殺陣シーン、鈴木清順だという批評を多く見ましたが、わたしは『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』(池玲子主演、監督は石井輝男)を思い出した。ルーシー・リューの役名もイシイだし。

検索してみたら、やはり類似性について書いてあるサイトがありました。
http://plaza.rakuten.co.jp/shimikendrix/diary/200407150000/

冒頭に流れるナンシー・シナトラの「バンバン」、ひさしぶりに聴きましたが、いい曲だな。
また、ラストの「怨み節」も、リアルタイムで「さそりシリーズ」を観た者には、とても懐かしい。 


『新版 映画は死んだ 世界のすべての眺めを夢見て』(内田樹・松下正己、いなほ書房)
まとめて注文した内田樹氏の著作のひとつ。きょう、これだけが先に届いた。氏の中学時代からの友人だという松下正己氏との共著です。松下氏のほうの文章は、作品論ではなく、映画という表現様式についてのかなり根源的な考察。晦渋です。内田氏のほうは、作品論。「エイリアン」シリーズの解読。リュック・ベッソン論など。

あとがきで、大学時代、共著者の松下氏と一緒に映画を観にいった体験が書かれています。まず『レマゲン鉄橋』、内田氏はあまりにつまらないので、場所を変えて『明日に向かって撃て』を観ようと提案して、こちらもふたりで観る。「いい映画だった」と内田氏が言うと、松下氏のほうは『レマゲン鉄橋』のほうが断然面白かったと言ったとか。

わたしも、『レマゲン鉄橋』派です。先日ニューヨークのV社のひとたちと戦争映画の話になり、わたしは自分の戦争映画ベストワンを『レマゲン鉄橋』だと言ったら、編集長のY氏が目を丸くして言いました。「あれをいいと言ったひとに初めて会いました。わたしも大好きなんです」 しばらくその話題で盛り上がった。

『明日に向かって撃て』も決して悪い作品ではありません。ただ、わたしにも同じ時期、内田氏と似た体験があります。同じころ公開された2本の西部劇で、友人たちの多くは『明日に向かって撃て』派だったけれど、わたしは断然『ワイルドバンチ』派だった。少し馬鹿にされたかもしれない。『ワイルドバンチ』が高く評価がされるようになったのは、公開後かなりたってから。いまではちょっと信じがたいことですけれど。 

きょうは原稿にかかれず。

2004年9月3日(金)
歴史捏造の情熱

『幕末・技術官僚の系譜』第4回原稿送り。

第三文明の編集さん来訪。
ビクトル・ユゴー特集で『レ・ミゼラブル』について語って欲しいとのこと。このインタビューのために、はるばる東京から当地まできていただくと、恐縮してしまいます。

第三文明、最近のバックナンバーで、内田樹氏や井上章一氏(『アダルト・ピアノ』の著者)もエッセイを書いていましたね。編集者さんから見て、やっぱりいま面白いひとたちなのでしょう。わたしはともかく。


飼い犬のうちの一匹の皮膚に、黒い腫瘍が出来ています。昨日気づいたのですが、きょうは黒い部分が少し広がっている。明日獣医さんを予約しました。皮膚ガン、という言葉が脳裏をかすめています。もう17歳の老犬なので、そろそろ何か故障が出てきておかしくはないのですが。


『津軽発「東日流外三郡誌」騒動 東北人が解く偽書問題の真相」(原田実、批評社)
先日『日本の偽書』(藤原明、文春新書)を読んで、興味を持ったのがこの「東日流外三郡誌」(つがるそとさんぐんし)という偽書。地元ではいまも信じるひとがいて、郷土史などにはこの偽書の記述がそのまま使われているらしい。メジャーな地名辞典も、この偽書を典拠のひとつとしているとか。よく聞くのは、この書の記述をすっかり信じて書かれたいくつかの小説の話です。

それだけの影響力を持った偽書なのですし、「架空の歴史を創り上げた」作者のエネルギーにも感嘆する。そのエネルギーの根拠は何なんだろうと本書を手にとったのですが、本書を読む限りでは、作者はうらさびしい詐欺師でしかない。「歴史捏造の情熱に取り憑かれた狂気の学者」といった人物であれば面白いだろうな、という期待があったのですが。

講演で彼が述べたという自分の略歴がすごい。「中学一年のときに弘前師団長の推薦で陸軍中野学校に入学。後に海軍に転属し、海軍航空隊員として終戦を迎える」 ふつうなら、この略歴を聞いたところで、眉に唾をつけるぞ。

そういえば、今年の4月、『駿女』取材のために青森県某町を訪れたとき、町役場の担当さんから、南部一族のとある人物が決闘した場所、という神社に案内されました。境内に大石がふたつあって、そのとき当事者たちが腰掛けた石だという案内板も出ている。
担当さんの話。「嘘なんです。よそから運んできたことがわかっています」
偽書の作者を笑えません。

ちょっと偏見ある言いかたをすると、「田舎」は歴史捏造には寛容なのでしょう。捏造であれなんであれ、歴史を渇望している。歴史の絶対的な不足に猛烈な飢餓感がある。それで「東日流」文書も(その単純なでたらめぶりにも関わらず)支持されたのではないだろうか。

2004年9月2日(木)
予想どおり仕事は進む

ほんとうは昨日すべきでしたが、この近況、ページを分けました。

『幕末・技術官僚の系譜』続き。

昼間、友人から電話。近くまできているとのこと。今夜のジャズ・ライブへの誘いでした。仕事のはかどり具合次第で行けるようなら行くと電話では答えたのですが、けっきょくやってきた彼からチケットを購入しました。2500円。予想どおり仕事は開演までには終わらず、行かず。

ららら、なぜか鼻歌でも唄いたい気分です。ららら。

 
『ドリーム・キャンパス スーパーフリーの「帝国」』(小野登志郎、太田出版)
スーパーフリー輪姦事件を追ったノンフィクション。著者は和田真一郎より3歳年下、和田と同じ早稲田大学在籍の経歴があるフリーライター。

あまり読後感がよくないことは承知で読み出したのですが、読後の印象は予想とは少しちがうものでした。そもそも、著者がこの事件についてさほど怒っているように感じられない。もちろん被告たちを「積極的には」擁護しているわけではないのですが、被害者たちに妙に冷淡、醒めているという印象があります。

また著者はあとがきで書きます。
「この究極の愚かな大学(スーパーフリーのこと)にも、強いて挙げればだが、優れた点がいくつかある。…誰もが集える大学だったことだ。(中略)そしてもう一つは、既存の大学構内ではなく六本木などの外にも拠点を置いたことだ。彼らは、頑迷固陋な今ある大学でできないことを、大学という場所に近接しつつ、そして学生という相対的に自由が利く立場を利用しつつ、活動し展開した」

著者は、大学には自由が必要だと強調し、スーパーフリーが既存大学に対抗する「夢のような」大学のモデルのひとつだったかのように書くのです。あとがきから逆に中身を検証すれば、和田たちをベンチャー・ビジネスのヒーローのようにも見ているようだ。

でも連中のやったことって、60年代ぐらいまでヤクザがダンスパーティを主催し、チンピラ学生がチケットを売っていた、あのあたりのことと変わらない。そんな興行(主体)を大学に見立てるのは勘違いだと思うし、ましてやこの程度のイベント企画など、新産業でも新しいビジネス・モデルでもなんでもないでしょう。

著者とわたしとでは、たぶん大学についての定義が違うのだろうな。あのイベントサークルに、大学の理想を投影するなんて、わたしには理解しがたい。「刑務所は学校だ」というレトリックの応用でもないようだし。また、六本木に拠点を置いた、なんてことを、そんなにまぶしく感じる若い世代がいるってことも、驚きではあります。


Vertical社から、下記のサイトで、Zero over Berlinが紹介されていると連絡。
一番上、complete-review.comのレビューは、かなり内容に突っ込んでいますね。

http://www.complete-review.com/reviews/japannew/sasakij.htm#ours
http://www.japaninc.net/article.php?articleID=1370&page=1
http://www.michaeldietsch.com/archives/cat_books_and_reading.html
http://www.crimewritersna.org/news/translations.htm

このホームページが英語圏で紹介されているのを知ると、ちょっとたじろぎます。
そのうち、作品紹介ぐらいは英語版も作ったほうがいいのかな。 

  このホームページは、親指シフトキーボードを使って入力・作成されています。


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