近況過去ログ03年4月
『ベルリン飛行指令』翻訳者さんとのあいだで、仕事上のやりとりが始まっています。
「この人物は実在ですか。だとしたら、名前の正しいスペルは?」
「この手紙の原文をお持ちですか」
いやおうなく、どこが虚構部分であったかも明らかにしなければならない。
有能な検事に自分の嘘を見抜かれて、たじたじとなっている犯罪者、という気分です。
黙秘権を使えるものなら、使いたいところ。
『立花隆秘書日記』(佐々木千賀子・ポプラ社)を読みました。
わたしの興味は、立花隆の調査・執筆のノウハウや仕事のスタイルを知りたい、という
部分にあったのですが、この本のコンセプトはそこにはなかったようです。
知りませんでしたが、佐々木千賀子さんという女性、女性誌などが関心を持つ、
働く女性の理想像のひとつのようですね。立花隆の秘書を辞めたあとスタジオ・ジブリに移り、
いまは沖縄で映像プロデューサーとか。
だから、本書中では、かなり彼女の個人的な趣味(オペラとかクラシック音楽の観賞生活)とか、
華麗な人脈やら、彼ら彼女らとの交流ぶりが描かれる。
「立花隆、の秘書としての仕事」について語ったというよりは、
「佐々木千賀子が立花隆のもとで働いていたころ」という中身になっていますね。
わたしのような興味で読むと、ちょっとはずれたという印象です。
03/4/30
縮んでしまった筋肉をほぐすには、温泉やマッサージのほかにもいい療法がありました。
神経性マヒの治療法としてよく利用されるようになった「乗馬療法」です。
お、そういえば(わざとらしいか)、ここにも馬がいたじゃないか。
このところ、実は週に1回ぐらいは放牧地の中で馬に乗っていたのだけど、
頭痛対策として、これからはむしろ、もっと積極的に乗るべきですね。
関係各位、わたしが馬に乗るのは、血行障害の治療としてです。
遊んでる、とは受け取らないでください。
というわけで、きょうの治療。
午前中は天気もよく、気温も上がって、なかなかの乗馬療法日和。
裏手の牧草地もすっかり雪が消えたので、この牧草地の隅を通って遠乗りへ。
去年から隣の酪農家さんには通過の了解をもらっており、いわばここには、
「馬版フットパス」が私的に作られている。
放牧地の裏手のゲートを開けて、枯草色にわずかに新芽の緑がまじる牧草地へ。
さらに農道を通って、カラマツの防風林帯の先へ。インストラクターのM嬢が一緒です。
わたしたちの馬のうしろを、飼い犬がついてくる。
馬の前方で野ウサギが飛び出して、犬が追う。犬は草原をどこまでも追いかけてゆく。
わたしたちは、早足・駆け足をまじえながら、早春の牧場のあいだを進む。
正面には、残雪の斜里岳、武佐岳、標津岳、サマッケヌプリ。
振り返ると地平線(拙作のタイトルをつい思い出す)。
M嬢は、このコースで馬に乗るのは初めて。そのロケーションのよさに感激していました。
わたしもちょっと自慢。頭痛も、どんどん軽くなっていったような気がする。
この療法は続けようと思います。
午前中は爽快だったのに、いまは気分が悪い。
身に覚えのない「インターネット使用料」の督促が来たのです。
これ以上放っておくと、最後の手段を取るとか。世田谷の某銀行支店が振り込みの
窓口として指定されています。よく報道されている手口。
右翼っぽい団体(会社名)を名乗っていますが、みなさんのところはどう?
プロバイダーに一応連絡したけれど、プロバイダーもスパムメール対策としてしか対処できない
でしょうね。いまこの段階では、犯罪として取り締まることができるわけじゃない。
あと何をしたらよいでしょうか。
こういうメールって、くるだけでかなり暗い気分になる。
これが頭痛のひどいときだったら、わたしは完全に切れて、
小樽に拳銃を買いに行っていたかもしれない。
03/4/29
脳神経科で脳を診てもらってきました。
去年まで当地には脳神経科の病院はなく、いざというときは釧路まで走るしか
ありませんでした。仕事場を建てるときも
「脳卒中の場合はあきらめてくれ」と言われていた。
ところが去年、町立病院の隣りに専門病院(医院)ができて、
住民の不安と不便は少し解決されたのです。
で、MRI検査、レントゲンを含めて精密検査。
血液検査だけはまだ結果が出ていないのですが、診断はこうです。
「疲労、睡眠不足、気疲れ(ストレス、ということでしょうね)等からきた
筋収縮性の血行障害による頭痛」
頭の中については異常なしです。 ほっ。
医師は言います。「薬はどうしましょう。ひどいようなら出しますが」
まったく必要ない、というニュアンスに聞こえたので、もらわずにきました。
ちょっとだけ、自分が詐病でもしたような気になったな。
ともあれ、こういうことであれば、わたしは仕事を少し休み、温泉に何日か逗留して、
収縮した筋肉をほぐすための入浴とマッサージなどを繰り返すのがよい、ということですね。
昨日一日、モニターを見なかっただけでも、ずいぶんちがいましたので。
でも、現実的には、温泉に数日逗留、というのも夢だな。 7月までは。
いや、待てよ。仕事を休むわけにはゆかない、ということは、クモ膜下出血の心配は
ずっと続くというだろうか。
03/4/28
頭痛が慢性化しているので、薬局に行って鎮痛剤を購入。もしかして、わたしは
鎮痛剤というのを買って飲むのは、これが初めてか?
わたしの体調についていろいろメールをいただいていますが、
可能性として、クモ膜下出血、を指摘してくれたひとがいて、これは怖い。
よりリアリティがあったのは、こういう診断。
「まず胃潰瘍による出血があり、それゆえの貧血、結果としての頭痛」というもの。
月曜には病院に行くつもりだったのですが、脳神経科に行くのがよいのか、胃腸科か。
一昨日書いた困ったメールの発信者さんから、お詫びのメールがきました。
近況を読んでくれていたひとでした。わたしの作品も。
となると、たいへん失礼なことを書いてしまった。自己嫌悪です。
これからお詫びのメールを書かなければならない。気が重い。
胃潰瘍にもなるわけです。
警察小説の取材で話を聞かせていただいていた道警札幌某署の刑事さんが、
北海道郡部の駐在さんに異動です。転勤通知が届いて驚きました。
例の道警稲葉警部事件の余波です。道警はアツモノに懲りてナマスを吹いた。
道新の記事によれば、道警はベテラン刑事たちをすべていまの職場から移すと決め、
同じセクションなら7年、同じ地域なら10年で異動、という機械的な基準で、
大配置替えをおこなったのだそうです。
捜査員の専門性を認めず、たとえ検挙率が下がっても不祥事は起こさないという
方針なのでしょう。愚劣極まる官僚主義。
捜査員も駐在さんも、それぞれに専門職でしょうに。
3年ぐらいででつぎつぎと職場を移って地位を上げてゆく警察庁キャリア官僚には、
これがなぜ愚策であるのかも理解できないのだろうな。
キャリア官僚にそんな腰掛けの職業人生が可能なのは、
支えるノンキャリアがいるからです。
03/4/26
まだあまり詳しくは書かないほうがよいと思うのですが、
『ベルリン飛行指令』の英訳作業が始まりました。
わたし、自分の長編作品で最初に英訳されるべきは『エトロフ発緊急電』かなと
考えていたのですが、出版社の担当さんは、いややはり『ベルリン』でしょうと。
この件では、翻訳者を探すことが、最大の問題でした。
翻訳力もさることながら、この作品に「乗って」やってもらえるか、
ということも大事な点でしたので。
そうそう、純文学の翻訳であれば、その翻訳家にとってアカデミックな業績と
みなされるのに対し、エンターテインメントの場合はそうではないのだそうです。
これは、翻訳者探しが始まってみて知った意外な事実でした。
翻訳も、わたしの書き下ろしの約束と同じで、
原稿が上がってみない限り、その先のことがわかりません。
というわけで、いまはこの程度のことしか記せなくて、申し訳ありません。
日経マスターズ『英龍伝』第5回送稿。
天気が穏やかなので、気分転換の意味もこめて、牧柵の補修作業。
補修で金槌をふるっているうちに、また頭痛がしてきます。力仕事をすると酸欠状態。
血行障害? 脳梗塞の前兆だろうか。月曜には病院に行くべきかもしれない。
03/4/25
胃痛と頭痛の件では、ご心配をおかけしました。
いろいろご助言、ご忠告いただいています。
頭痛対策として、モニターを液晶に変えたら、という提案もありました。
頭痛はまた出ていますが、さいわい、倒れる、寝込む、というほどのものではないので、
ご安心を。7月、『天下城』の連載が終わったところで、今年は確実に夏休みを取りますので。
体調を案じるメールにまじって、また困ったメールが一通。
「自分はアマチュアの物書きであるが、プロになろうかと悩んでいる。
社の文芸誌に載った短篇を添付したので、助言が欲しい」というもの。
このひと、わたしのサイトを読んでいる節はなく、
わたしの作品についてもひとことも触れていない。読者ではないのです。
なぜ、ほかでもなく「わたしの」助言が欲しいのかも書かれていない。
以前、ニューヨーク在住の日本人から似たようなメールがありましたが、
あのときと同様、作家サイト集などに入って、わたしの同業者に片っ端から、
同じ中身のメールを送りつけているのでしょう(CCではありませんでしたが)。
ニューヨーク在住の彼の場合も、近況にあれほど耳の痛いことを書いたのに、
抗議のメールもきませんでした。
一方的な宣伝文を送ったあとは、わたしのサイトにもう一度入る気はなかったらしい。
そもそも他人の文章を読む習慣のないひとだったようです。
こんどのひとも同じでしょう。この近況が彼の目に留まることはない(もし読んでいたら、
胃痛、頭痛を訴えている相手に、こんなメールを送ってこない)。
先日読んだ『ハリウッド脚本術』(ニール・D・ヒックス、フィルムアート社)の中に、
作家志望者の原稿を評価し、出版社に売り込んでやるというビジネスのことが書かれていました。
アメリカの詐欺商売なのですが(エージェントとはちがう)、
日本でも、こういう商売が成立するだろうか。
「あなたの原稿を責任もって出版社に売り込みます。
いま一歩の作品には、本職作家が助言。1点につき○○円ぽっきり」
売り込み料・助言料を振り込ませた上で、ひと月半後に、原稿はすべて、
定型の手紙をつけて送り返す。
「この作品は残念ながら不採用でした。問題はプロットの甘さ。次作を期待します」
もうやっているところがあるかな。
昨夜、雨が降りました。
おかげで、先日積もった雪もかなり消えた。角馬場が使えるようになるまで、
あと一週間くらいでしょう。いよいよ乗馬の季節です。
今年もゴールデン・ウィークには、7キロ離れた農家レストランまで
馬でお昼を食べに行きたいものですが。
03/4/24
昨日の雪から一転、きょうは快晴。気温も上がりました。10度くらいはあったろうか。
そのせいでしょうか。頭痛が消えた。わたしは天気で体調が左右されるほど
繊細な人間ではないつもりでいましたが。
でも、悪天候のときはともかく、いいお天気だと、身体も気分も軽くなるのは確かだな。
NHK衛星放送で、日中、中村錦之助特集が続いています。
宮本武蔵シリーズが終わって、いまは戦国もの。
昨日が『風雲児・信長』で、きょうは『反逆児』(徳川家康の長男、信康の物語)。
両方とも、たぶん昭和三十年代の作品のはずですが、このころは
昔ながらの「日本の風景」を撮ることが、さほど難しいことではなかったのですね。
不整形の水田のある谷とか、海岸沿いの平地とか、未舗装の道が延びる盆地とか、
そういう風景をきちんと地平線まで入れ込んで撮っても、
そこには近代のものは何ひとつ見えないのです。
いまは、そういう風景を国内で探すこと自体がむちゃくちゃに難しいでしょう。
無理して国内で時代劇を撮ろうとすると、『乱』のように、異世界SF映画ふうになってしまう。
ああ、それにしても、日本の正統史劇を、きちんとした演出で観たい。
音楽はジョン・ウイリアムズで。
ちなみに、わたしが『天下城』を書いているときにかけるテーマ音楽は、
『スターウォーズ組曲』です。
メータ指揮、ロスアンジェルス・フィルハーモニック。
03/4/22
きょうも雪。
頭痛。
一昨日の胃痛のとき、血が頭から下がって、じつは頭も痛かった。その頭痛が
そのあとも潮の干満みたいに、大きな周期で繰り返される。
ちょっと大事をとって、きょうはモニターを見つめることは避けました。
原稿は書けずじまいの日。
北海道新聞のコラム、タイトルがまだ決まらず、メールと電話でやりとり。
いいタイトルが、さっと問題なく決まらないと、後々響くのですが。
PCのことや体調のことで、いろいろお気遣いのメールをいただいています。
しばらくお返事できない状態が続きそうです。ご了解ください。
03/4/21
昨夜、10時過ぎから突然、胃が痛み出し、七転八倒しました。
痛くて痛くてじっとしていられない。身をよじっていると、少しだけ痛みが薄れる気がする。
前夜のお酒から24時間以上たっているので、お酒のせいではない。
だったら胃酸過多の可能性ありとガスター10を1包飲み、
「温灸くん」という医療機器(?)を背中に当て、
痛みに悶えつつ2時間、ようやく痛みは引いてゆきました。
今朝になって原因をあれこれ考えました。
昨日は神経性胃炎になる理由はなかったけれど、空腹だったと気づいた。
その前夜、飲み過ぎたという思いがあったので、胃袋を休めていたのです。
その時刻まで、バナナ一本、かけ素麺一杯しか食べていない。
空腹が理由で胃痛となると、潰瘍系の症状ですね。近々検査に行かなければ。
午後の1時過ぎ、庭で犬が吠えるので窓から外を見ると、
葦毛に斑点の馬(アパルーサという種類の馬)に乗って、
友人がアプローチに入ってくるところでした。
穏やかな日曜日なので、馬で散歩とのことです。コーヒーを出してしばし馬談義。
友人がコーヒーを飲むために馬で訪ねてくるって生活って、書いて信じてもらえるだろうか。
ほんとのことです。
03/4/20
昨日、集英社『帰らざる荒野』の見本刷りを、
小説すばると書籍の担当さんが届けてくれました。
ふたりとも、ものすごく有能な女性編集者。当地で食事して、お酒。
このところ、業界の優秀な女性たちを交えて話をすることが続いたのですが、
このようなひとたちとの会話は、わたしの角質化した脳細胞を大いに刺激してくれます。
楽しかったので、昨夜も飲み過ぎ。
また雪です。馬の放牧地は昨日は7割がた地表が見えていたのに、
きょうはまた一面真っ白。夏タイヤへの交換時期を探っていたのですが、やはり
ゴールデン・ウィークが明けるまでは、スタッドレスのままでいたほうがいいようです。
日本PTA全国協議会なる組織がテレビ番組調査の結果を公表した、という新聞記事。
保護者の34パーセントが、見せたくない番組のトップに『クレヨンしんちゃん』を挙げたとか。
テレビと映画は多少中身がちがうのかもしれませんが、テレビを観て映画館にくる子供たちの
期待を裏切るわけにはゆかない以上、両者のコンセプトは一緒と思っていいでしょう。
なのに、34パーセントの親が、テレビ『クレヨンしんちゃん』を子供には観せたくない!
この調査結果を発表した日本PTA全国協議会は、要するに『クレヨンしんちゃん』を
ワースト番組のトップだと言っているのでしょうね。
わたし、この団体にはとくに何の偏見も持っていないつもりですが、
やはりそうとうにずれていると感じます。
34パーセントという数字も、まさか日本中の親の無作為抽出の調査結果ではないと思う。
この団体で活動するひとたち、とくに母親を対象にした調査の数字なのではないだろうか。
『ターン』のことをもう少し。
惜しい、と感じたついでに、わたしならこう改変するという案。
現物がすでにあれば、何でも言える。
中村勘太郎の登場は、いくらなんでも唐突です。牧瀬里穂の交通事故の前に、
ふたりはすでに会っていた、あるいは一瞬すれちがっていたことにしなければ。
時間は繰り返されない。
交通事故のあと、牧瀬里穂は、他人がいなくなった世界で、ひとり生き続ける。
ラスト、新作のメゾチントは、牧瀬里穂が持っているのではなく、中村勘太郎のもとにある。
中村勘太郎と昏睡状態の牧瀬里穂とがじっさいに交歓していたことの証明。
牧瀬里穂が、勘太郎の部屋に置いてくる、ということでよいではないか。
03/4/19
朗報です。うっかりしていましたが、世間はもうゴールデン・ウィークにかかるのですね。
週刊誌はゴールデン・ウィークには合併号が出ます。つまり一週お休みできる。
『歴史街道』も、カストロ特集が、モンカダ兵営襲撃の日付に合わせて、ずれました。
つまり、これも締め切りが一カ月延びた。ほっ。
先日『戦闘美少女の精神分析』のことを書いたとき、『幕末純情伝』の牧瀬里穂について
触れました。これに自分で反応してしまって、『ターン』という映画のDVDを借りてきた。
牧瀬里穂演じる銅版画家が、交通事故に遭う前日からその瞬間までを無限に
繰り返すことになる、というファンタジー。
ビル・マーレイ主演の、とてもよく似た設定のハリウッド映画もありました。
惜しい。わたしの業界のことではないので、遠慮なしに書いてしまいますが、
この『ターン』は、「愛すべき佳品」になりそこねた作品です。
この『ターン』の失敗は、設定を複雑にしすぎたことです。
設定の1、牧瀬里穂は、交通事故があった時刻に一日前にもどって、この24時間を無限に繰り返す。
2、しかしその世界は、他人がひとりも存在しない世界。
3、交通事故の瞬間までくると、彼女はその世界から消える。時間がリセットされる。
まず、前日にもどる、という設定が生きていない。
同じ日が無限に繰り返されるのではなく、ただべつの新しい時間が始まったように見える。
それならそれに徹したほうがよかった。
その瞬間になると消える、という設定も生きていません。
他人がいない世界で、何の関係性も持たずに生きている者に、
何かのデッドリミットがありますか?
同じ日が繰り返されようと、ある電話一本だけは、現実世界とつながりっぱなしと
わかってしまうのだし、交通事故があった時刻に主人公が消えても、
何のサスペンスにもならない。
その時刻に消えることが何かの救済にもなっていない(一回捻挫が治るだけ)。
中村勘太郎が生きている現実世界のほうの描写が、牧瀬里穂の生きている世界の
描写と衝突している。猥雑な現実世界が描写されることで、
せっかくのファンタジーの雰囲気(美的統一性)が壊れている。
幼女誘拐殺害犯のエピソードも、ただ不快なだけ。
こういう生々しい現実を作品の中に持ち込む必要があったかどうか。
交通事故の後に牧瀬里穂が生きる「自分だけがいる世界」は、臨死体験の実態化と
考えるべきでしょう。つまりそこは、牧瀬里穂の記憶と美意識からはずれるものは
何ひとつない世界であるはず。幼女誘拐殺害犯と共存する、という設定だと、
その世界はいったい何なのということになる。死と生との中間地帯?
ならば、なぜそのふたりだけが存在する?
他人が誰もいない世界でひとり、けなげに生きる牧瀬里穂の姿が美しいだけに、
コンセプトを詰めきれなかったシナリオは失敗です。
ついつい分析してしまうのは職業病。本意は、惜しい!という部分にあります。
03/4/17
腱鞘炎に加えて、顎の痛み。この症状、前にも何度か出ているのですが
顎(ガク)関節症というらしい。原因はストレスとか。寝ているあいだ、ひどい歯ぎしりでも
しているのだろうか。
しかし、いまのわたしの人生に、いったいどんなストレスがある?
仕事途中の気分転換にと『山崎豊子 問題小説の研究』(鵜飼清・社会評論社)を
読み始めたのですが、わたしの仕事に関する話題の本なので、
ついつい読みふけってしまう。山崎豊子の「盗用」問題を緻密に検証した論考です。
いかん。仕事にもどれなくなる。いったん書棚に収めたほうがいいな。
03/4/16
今朝はまだ、放牧地の雪解けは10パーセントくらいと見えていたのに、
夕方に気がつくと、もう30から40パーセントは地表が見えている。
急速に雪解けが進んでいます。
いま(深夜零時)、外は濃霧。気温がマイナスになっておらず、雪原から湯気が
立ち昇っているせいか。今週中には、7割がた地面も見えてくるでしょう。
けっきょく、きょうの仕事開始は午後の5時。
トランキライザーは2ミリグラム。早めにもう1錠飲むべきだった。
掲示板の書き込みへのレス、遅れています。申し訳ありません。
03/4/15
整体師さんのところに腱鞘炎の治療に。
電気マーッサージ(理学療法?)と、マッサージ。湿布薬をすり込み、ストレッチ。
わたし自身でも今後はストレッチをきちんとやるように勧められました。
原因はPCの使いすぎですから、マウスに代わる何かよいツールを探すのが
根本的対策かもしれない。何かありますか。
そういえば、マウスは左手で使えるようになれ、と、
ビギナー向けのPCの参考書に書いてあったな。
わたしは当地で、某環境問題についてのボランティア委員なのですが、
年度変わりということで、関係官庁の新任の担当者さんと、その上司らが
「ごあいさつに行きたい」という。「ご説明も少々」
3月末には、前任者たちも、釧路から2時間かけて突然やってきて、
異動のあいさつをしていった。
先週も一度、この新任のひとたちが、あいさつに行きたい、と電話してきましたが、
このときははっきりと、不要とお断りした。
時間給の高いお役人たちが、釧路から片道2時間かけて走ってそんなことをするのは、
公費の無駄遣いです。わたしは鈴木宗男とちがって、「あいさつがない」と怒鳴ったりしない。
なのにきょう、その件で二度目の電話。明日どうしても行くという。
何時ごろなら都合がよいか?
もう決めてしまって、あとはその時刻の調整ということなら、断りようがない。
午後1時にきてもらうことにしましたが。
ほんとにそんなごあいさつが必要だろうか。資料は送ってもらっているし、
あとは電話でのやりとりでも十分すむ用事だと思うが。
不本意ながら、きょうもこんな愚痴の書き込み。
03/4/14
これまでのレギュラー以外に。
電通報コラム600字
北海道新聞『生きる」新連載コラム3枚
歴史街道、カストロ・モンカダ兵営襲撃に関する考察10枚
『そのとき歴史が動いた』単行本ゲラチェック
『ユニット』原稿直し(5月ゴールデンウィーク明けまで締め切り延長)
月刊競輪エッセイ3枚(意外でしょうが)これもゴールデン・ウィーク明け
ほかに忘れている仕事はなかったろうか。
腱鞘炎かもしれません。黙っていても肩に神経の痛み。
明日、整体師さんのところに行ってみるつもり。
左目の毛細血管が切れて、真っ赤。ゾンビの目。
そのうえ、風邪で寝込んでいたときに無精髭を伸ばしっぱなしにし、その後剃っていないので、
わたしはいま、かなり怪しく危ないひとのような外見をしていると思う。
こういうときに、誰かがつまらない用事で訪ねてきてくれたら、
その後そのひとは二度とわたしを訪ねたくなくなるのではないかな。
03/4/13
『帰らざる荒野』集英社、が、18日に見本刷り上がり。ほんとうは東京で受け取って
そのまま自分にご褒美のワインとゆきたいのだけど、その時間がありません。
担当編集者さんが届けてくれることに。
18日はちょうど締め切りの合間。この日は半休としよう。
奥付では25日刊行ですが、東京の大手書店ならその数日前から並ぶかもしれません。
昨日も夜から雪。きょうは夕方まで地吹雪。
去年はどうだったか、この近況の過去ログを見てみたら、8日に雪、積雪が消えたのは
4月末でしたね。つまり、今年もさほど厳しい冬というわけでもないようだ。
でも実感としては、ずいぶん雪が多くて、吹雪で閉じ込められたことも多かった、
という印象なのですが。
『旅行記でめぐる世界』(前川健一、文春新書)を読む。
日本人の代表的な海外旅行記の紹介を通じて、日本人の異文化体験を考察した本。
戦後の海外渡航をめぐる事情も要領よく解説されており、面白い本でした。
ただ、筆致が全体に遠慮ぎみという印象を受ける。
たとえば同じ企画で斉藤美奈子が書いたとしたら、沢木耕太郎や駐在員の妻たちの
旅行記をどう評したか、ということを考えてしまいます。
冒頭に、48年(昭和23年)に出た高田市太郎(毎日新聞欧米部長)の
『戦後の世界を飛ぶ』(日本交通公社)という旅行記が紹介されています。
なんと前川健一の判断では、これはフィクション。行ってもいないのに書かれた旅行記。
このひとが世界旅行をしたのは事実らしいが、本の刊行はまだ帰国前のことだそうです。
しかし高田市太郎は帰国後も、戦後の世界を最初に見たジャーナリストとして、
全国津々浦々で帰朝報告会を開いて大盛況だったそうな。
この高田市太郎という毎日新聞社員、「ボーン上田記念国際記者賞」という
ジャーナリストに与えられるたいへん権威ある賞を最初にもらったひとらしい。
いまなら、彼は何か文学賞にノミネートされたのでしょうね。
じつは前川健一氏とは、以前、中目黒のタイ料理店の客同士として知り合っていました。
初めて香港旅行をするとき、居合わせた前川氏に「『スージー・ウォンの世界』を読んでから
行きたいのだけど、本が見つからない」と言ったら、持っています、とすぐ貸してくれた。
この本を読んで、その感動も熱いうちに香港に行きました。
向こうに着いて、紹介されていた旅行代理店の香港人担当者に
『スージー・ウォンの世界』の舞台となったホテルの名を出し、そこに泊まりたいと言った。
担当青年、絶句してから「そこは、あまり上品なホテルではありません。
でもどうして、そんなところを知っているんですか」
彼のお勧めにより、けっきょくべつのホテルに泊まりましたが。
わたしがその香港旅行に何を期待したのかは、『スージー・ウォンの世界』を
読んだひとのみぞ知る。
03/4/9
わたしとはかなり歴史観はちがう、と感じつつも、このひとのサイトは毎日読んでいます。
勝谷誠彦の××な日々。 こんどのイラク侵攻ニュースに関しては、この二日間、ひんぱんに
「号外」が出て、一日一回の巡回では終わらない。気になって数時間おきに読んでしまった。
昨日は、書き込みの主題からずれたところにも、気になったことがありました。
勝谷氏もどうやら親指シフト・ユーザーらしい。
記述のうしろに(泣)と入っているところをみると、富士通への不満はわたしと共有かな。
この規格が富士通以外で作られたものなら、ユーザーはこんなに苦労しなくてすむのに、
ということだろうと思うけれども、解釈は勝手過ぎますか。
自分の仕事の技術上の話。
オリジナルな物語などない、すべてはすでに語られている、と認識すれば、
自分の書く一見オリジナルなストーリーも、
けっきょくは「物語素」のどれかのバリエーションにすぎない、と認めることができます。
登場人物とその役割についても、じつは基本的なかたちの組み合わせでしかありません。
でも、こういう文章を読むと、パターンの持つ強みと弱みについて考えさせられますね。
分析自体は、ごくごく当たり前の中身ですが、それゆえに読まない、観ないと
はっきり宣言されてしまうというのは。
わたし自身は、小説でも映画でも、この作品の物語素は何か、
登場人物の基本型の振り分けはどうなっているか、という分析は、楽しみとしてよくやるのですが。
ハワード・ホークスの作品など、登場人物の性格づけと役割分担がいつも決まりきって
いることで有名で、ある映画評論家は、表を作って発表しているくらいです。
しかしホークスの場合、あれは、もう芸のうちだという印象がありました。
でも、ほんとうは、素型など意識できない作品であるべきなのでしょうね。
作家の想像力以前に広告代理店の会議室が連想されてしまうようでは、たぶんまずい。
ホークスのあの「偉大なるワンパターン」には、ホークスの美意識こそ
感じられても、マーケティング、なんていう概念を読み取ることはできないのですから。
03/4/8
今日から『くろふね』第8回、中島三郎助と長崎海軍伝習所の章。
『武揚伝』ノートにも書きましたが、榎本武揚の海軍伝習所入所の時期については、
史料がふたつあって、どちらか決められない。卒業は確実に二期生として、ですが。
研究書などは、勝海舟の回想に従って、安政三年末に長崎着、翌年1月に二期生として入所、
という説を採る。わたしも一応『武揚伝』ではこれに従ったのだけど、かなりの程度に疑問もある。
『くろふね』では、この通説を棄てて、新解釈にしようかと思っています。
その場合、『武揚伝』文庫版も改訂しなければなりませんが、いまならできる。
つまりそれは、勝海舟の『氷川清話』を、信憑性のないただの自慢話とみなし、
幕末・維新史の史料としての価値を認めない、ということになりますが。
先日の夢の解釈、友人からメールがありました。
あれはわたしの願望がそのまま出ただけじゃないか、と。
つまりわたしはいま、友人たちが恋しくて、
さらに街をブラブラしたくてたまらず、
仕事場環境については我慢をしたくない、ということだそう。
そう言われてみると、まるで難しいところのない夢でした。
イラク侵攻映像と解説。市民の情報リテラシーを鍛えてくれます。
専門家が言う「これは反対側です。東岸の映像ですね」カメラはどこにあるというんだ?
「抵抗はありません。一方的な攻撃です」その戦車、後退しながら撃ってるじゃないか。
「影武者かもわかりません」影武者がテレビカメラの前に出てくるか。
「自爆テロの可能性があるので射ったのでしょう」自爆するのに高速道の反対車線を走るか。
「わたしの部隊はいま」あんたはやっぱり米軍第3歩兵師団の広報担当だったのか。
03/4/7
これを書いて信じてもらえるのだろうか。当地はまた猛吹雪。終日、突風。
身体はすでに、春を迎えるモードになっていますから、寒い。
先日『戦闘美少女の精神分析』という本のことを書いたとき、知人が『あずみ』という
コミックのことを教えてくれました。上戸彩というアイドル(?)の主演で映画化されるのだとか。
きょう届いた週刊誌に、その映画のことについて記事が載っていました。
やっと設定がわかりましたが、これってつまり、忍者もので、くの一もの、
という理解でいいのだろうか。いや、性的能力を使う女忍者ではなくて。
かつて忍者映画がよく作られていたころとちがい、いまはきちんと肉体を鍛え、
武道をそこそここなす女優さんもいるでしょう。
上戸彩ってどんなアイドルなのか知らないけれど、
うまくゆけば『トゥームレイダー』になるわけですね。
どうなんだろう。
『天下城』長篠の合戦の章、あと一回。そのあと、いよいよ安土築城の章。
03/4/6
東京からは花見の話題が聞こえてくるというのに、当地はまだ50センチぐらいの積雪。
日中はともかく、夜になるとけっこう冷えて、マイナス7、8度まで下がる。
それでなかなか融雪が進まない。今夜も雪とか。
わたしはまた、自分の仕事の日程管理ができない状態に陥っているようです。
予定を整理してみて、愕然とした。4月5月は、もう破綻しかけている。
いつのまにこういう事態になってしまったんだ?
昨夜の、妙にリアルな夢。不動産屋を訪ねて、一生懸命、仕事部屋探し。
東京の恵比寿近辺と当地とが入り交じっているような土地。
紹介される部屋がまたどれも似たような造り、似たような広さで、見覚えがあるような
気がするのだけど、目覚めて考えてみても、心当たりはない。
その部屋探しの途中で、何人か知人、友人とすれちがう。ひとりは、わたしに気がつかない。
わたしはけっきょく、紹介された部屋を片っ端から契約してしまう。
どのように解釈すべき夢なのだろう。
逃避願望がストレートに出たということだろうか?
03/4/5
いや、八つ当たり、と書いたのは、謙虚な気持ちからで、ほんとは
富士通「OASYS2002は、最低のワープロ・ソフトである」と正しく評価を下しているのです。
詳しくは書きませんが、人生の貴重な時間の浪費。
昼間、町に出たついでに友人と昼食を一緒に食べました。友人が、そのあとちょっと
知事候補の立ち会い演説を聞きに行こうという。北海道もいま、知事選挙の真っ最中なのです。
午後一時、某無所属候補が当地にやってきたのですが、集まっているひとびとの顔を見ると、
その大半が、民主党の支持者、とわたしが記憶していたひとたち。
いや、れっきとした党員もいたぞ。
でも、民主党も、この選挙に党公認の候補を出している(新幹線を作って欲しい、と、
政府ではなく、こともあろうに自民党の本部に陳情に行った、という人物)。
混戦になるはずです。
おっと、この記述、公職選挙法に抵触するのかな?
富士通は民主党だ、って言葉をいま思いつきました。
そのこころは?
一時期は最大野党として存在感もあり、固定の支持者も少なくなかったのに、
愚かさゆえに、支持者に見限られて自滅。
03/4/4
担当編集者さんから電話。編集部を異動しましたとのこと。
先日、細かな打ち合わせをしてきたばかり。彼とはどうもこれまでタイミングが合わず、
長いつきあいなのに、一緒に仕事をしたことがなかった。
今度、やっと一本できると思ったところで、異動。なんとも残念です。
わたし、ひとみしりが激しいほうなので。
『天下城』、長篠の合戦の場面を書き続けていて、『天下城ノート・長篠の合戦の考察』に
書いた仮説にいよいよ自信を持ってきました。
陣城を築いて、そこでの攻防戦に武田軍を誘いこもうとした織田信長・徳川家康の作戦と、
目の前の織田・徳川連合軍の布陣を、あくまでも野戦の構えと見た武田の認識の差。
武田の敗因は、自分たちの戦っている合戦が、最後まで攻城戦だと認識できなかったことに
尽きます。けっして「3000挺」の鉄砲の「三段撃ち」「一斉射撃」に負けたわけではない。
こんど誰かが長篠の合戦を映像化するとしたら、それはけっして『影武者』のようであっては
ならないでしょう。何度か書いてきましたが、
『スパルタカス』あるいは『ブレイブハート』のように描いてほしい。
角川映画『天と地と』では、数百頭の馬を集めるために、カナダで撮影した。
『ブレイブハート』『プライベート・ライアン』は、モブシーンの撮影を安く上げるために
アイルランドで撮影し、アイルランド軍をエキストラに使ったそうです。
黒沢明もたしか何かの企画で、モンゴルでの撮影を考えていたはずですが、
総計2万ぐらいの軍勢をフィルムに写し出すためには、中国での撮影も考えてよいかも
しれない。中国と日本の人件費が逆転しないうちに。
あ、日本経済が破綻して自衛隊が師団ごとに独立採算にでもなれば、
北海道でも安く撮影できますか。第7師団と第11師団を使って、恵庭演習場でロケか。
仕事、仕事と言い続けて、わたし、またひとつ人生のミスをしでかしたかもしれない。
03/4/3
ひたすら原稿を書いておりました。ちょっとはかどったな。
もっとも、手紙書きとか書類探しとかゲラ直しとか、あとまわしにした雑事(とはいえ、
仕事の一部)もけっこうあるのですが。
きょう届いたAERAに、先月ニュージーランドのオークランドで起こった
日本人学生殺人事件の続報が載っていました。
不登校児の合宿教育機関で起こったことのように報道されていたけれど、
記事から判断するに、これは駄目ワーキングホリデー日本人を使った不法就労組織、
ソフトな蛇頭という性格の営利追求グループで起きたリンチ殺人ですね。
駄目な「ワーホリ日本人」が、滞在日数の長さによってそのグループの中で地位を上げてゆき、
新人を支配するようになる。もともと駄目な連中だけで作っている組織ですから、
わずかな金の配分をめぐってすぐトラブルを起こす。
この事件の場合、連中は物理的にも完全に隔離された環境で共同生活(監視生活)を
送っていたようで、たぶんリンチは日常的なものだったのでしょう。
ボスも絶対にワーホリ出身者のはずです。
と、ここまで書いて、自分がこの手のグループに無茶苦茶な偏見を持っていることに
気づいた。こんな偏見が生まれた理由はいったい何だったのだろう。
直接関わったり知ったりしてきたわけじゃないはずなのですが。
03/4/2
YS11の売却申し入れ問題、町の担当者からこういう指摘がありました。
「あの話、金額はまちがいです。200万ではなく、2000万」
訂正します。
少し深夜にシフトしすぎた生活サイクルをもとにもどそうと、
昨夜は早めに誘眠剤を飲んで眠ったのだけど、
期待していた時刻には起きることができなかった。ただ、長い時間眠っただけ。
朝に二時間、仕事ができるようになると、一日が楽になるのですが。
03/4/1